ゆらゆらと揺れる海の彼方 7 近藤 信義 メディアワークス 2007-01-06 by G-Tools |
【シグルド。18歳。小さな村の青年に過ぎなかった彼は、幼馴染のギュンターと共に義勇軍を結成する。しかし、素人同然の彼らは戦場にいても出番すらないような扱い。だが戦況は一変し!?】
ゆらゆらと揺れる功名が辻
稀代の英雄シグルドが、義勇軍を率いてた頃の話。
長引く戦乱により故郷の村が襲われたことで、親友ギュンターと共に義勇軍を集め、成り上がりを目指す下克上ストーリー。
ようやくアールガウ側の歴史解説が入ったのと、本編での最強の敵・シグルドのキャラクターを掘り下げていきます。
むつけき野郎どもの中にあって、エレオノーラのお転婆ロリっぷりが和みます。こういう萌えキャラだったのか印象変ったw
海獣の特殊能力を駆使した冥海での大規模戦闘こそ、
白兵戦のロマンと張り巡らされる戦略的駆け引きに胸が躍る
この作品の魅力なのですが、ここにきて初心に戻るというか、
装備も海獣も、兵士の頭数すらないところから、徐々に実績を重ねて戦場のスケールが広がっていく感覚がいいです。
ただ、敵も味方も指揮官はそろってバカばっかですか。
目先の相手を力押しで倒すことだけに夢中になって、戦況がどんどん泥沼化していく様子は、なんだろう現在のイラク?
まあ、これが初陣だし相手は噛ませ犬で十分なんでしょう。
雑魚キャラとはいえ、シグルドの戦術センスは戦いを経験するたびに磨かれていき、指揮官としての素質を窺わせます。
このときすでに、エミリアはシグルドに惹かれていますが、
内心では彼に近づきたくとも、その一歩を踏み出せずにいて、えんえんと葛藤している姿は本編と変わりませんねぇ。
敵側にシュニッツラー、味方にラーゲルレーブ、クリムトら、
シグルドの脇を飾る人物たちも続々と登場してきました。
歴史の表舞台の片隅にようやく名前が出たところで、下巻に引いています。
いやぁ、これからどんな悲劇が待っているのか楽しみです。
番外編は番外編で質は高いが、それよりも新型アトライオスのお披露目マダ-とか期待していたのは私だけではないハズ。
なるべく早く本編に戻ってこられるように願います。