ダフロン

2012年12月16日

織田信奈の野望外伝 邪気眼竜政宗/春日みかげ

4797372095織田信奈の野望外伝 邪気眼竜政宗 (GA文庫)
春日 みかげ みやま 零
ソフトバンククリエイティブ 2012-12-17

by G-Tools

米沢の当主である伊達輝宗の子、梵天丸。彼女は驚異的な頭脳を持ちながら、出生にまつわるコンプレックスがあり、孤独を抱えていた。しかし、一方で天下盗りの野望を胸に宿らせつつあった。そんな彼女が思いもよらぬ奥州の動乱に巻き込まれ、周囲には油断のならない人物たちが続々と現れる。

 黙示録のびぃすと、邪気眼竜覚醒!

 中二病の奥州伊達政宗の覇道の歩みを描いた人気シリーズ『織田信奈の野望』のスピンオフ。

 四百年後の未来であれば金髪幼女は絶対正義だろ! 幼女を悲しませるとは戦国時代、許せん!
 奥州伊達家の次期当主・梵天丸が、自分自身の抱えたコンプレックスと向き合い、己の生まれからくる苦悩や葛藤を乗り越えて、邪気眼を用いて天下統一を目指して暴走し始める光景が泣けて、笑えて、感動しました。
 憎まれても、すれ違っても、お互いを強く想い合う、梵天丸と義姫の親子愛が切なかったです。

 日本人と異人のハーフとして生まれたために異相の外見から偏見の迫害に晒され、さらには複雑な出生から母親の愛情を満足に得られずに育った梵天丸・政宗の境遇が可哀想で涙を誘います。
 人として強く、天下人になって欲しい一心でスパルタ教育をする母・義姫の親心が、梵天丸には実の母にも嫌われているように感じてしまい、ますます彼女を萎縮させていってしまうのがやるせなかった。

 堺にやって来てルイズや良晴と出会い、黙示録の存在を知り、オッドアイを受け入れてもらったことで、眠っていた自分の素質を芽吹かせ、信奈や信玄に遅れつつも天下盗りに乗り出していく姿に胸がいっぱいになった。
 まずは奥州を平定するために、腹心である片倉小十郎や伊達成実らと出兵し、邪気眼を利用した奇想天外なハッタリ戦術で奥州を恐怖のどん底に陥れ、合戦で武将たちを次々と打ち倒していく光景が痛快でした。

 しかし今回の登場人物でもっとも偉大な人物は、梵天丸の父・輝宗だと思う。血の繋がらない娘・梵天丸へ伊達家の家督を譲るのみならず、自分の命まで投げ打つ愛情と献身ぶりには感動せざるを得ない!
 そして直江兼続、邪気眼なんかに関わったばかりに損な役回りを押し付けられて……頑張れシスコン超頑張れ。信奈の天下統一の暁には、伊達家の母と娘のわだかまりが解けることを願ってます。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | GA文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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