![]() | ご主人様は山猫姫11 南北雌雄決戦編 (電撃文庫) 鷹見一幸 春日歩 アスキー・メディアワークス 2012-12-08 by G-Tools |
南域の反乱軍と晴凛率いる北域国軍がついに激突する。数では反乱軍に分があるものの、皇帝を擁することに成功した北域国軍と帝国軍の士気は高い。合戦のすう勢は予断を許さないものだった。軍師の知恵比べが戦況を左右する。伏龍、崇鳳。二人の先の読み合いは熾烈を極める。
帝国の興亡、この一戦にあり!
帝国人でありながら遊牧民の姫君に仕え、戦いの中で英雄へと駆け上がるヒロイックストーリー。
ヒロインたちの熱い視線を受け、主人公たちが戦いに挑み立つ! これぞ漢の晴れ舞台!
北域王・晴凛と長嶺帝がもたらした援軍により、息を吹き返した帝国軍がついに反乱軍に反撃を開始し、伏龍と崇鳳の二人の天才軍師による、お互いのすべてを賭けた大激突に血が滾ります。
勝つのは兵の数で勝る反乱軍か、それとも質に優れる帝国軍か、天下分け目の大戦に刮目です。
兵たちに食事を振る舞うミーネが微笑ましいですね。戦場に女の子がいることで潤いがあるだの、糧食として理にかなってるだの、将軍たちの考察がやたらと深いけれどあまりに深読みしすぎで笑える!
士気が高く熟練した帝国軍を率いる伏龍の作戦に、反乱軍が面白いようにハマっていくのが痛快なんだけど、相変わらず兵士を数としか見てないような無慈悲な崇鳳の人海戦術が悪辣でぞっとするなぁ。
戦いの中で読み合いを続けるうちに、伏龍も崇鳳も、敵軍を指揮している軍師の正体に気づいて、闘争心を燃え上がらせる場面は熱いですね。なにからなにまで正反対な二人の姿が印象的です。
戦場を読み、未来を予測できる伏龍にも予想外の事態がいくらでも起きるんだけれど、その都度、現場の兵士たちが臨機応変に処理して、ただの烏合の衆と訓練を受けた正規兵の違いに感服しました。
近衛騎兵を率いる総凛の圧倒的な存在感を放つ戦いぶりは息を呑むほどでしたし、何をしたわけではないにせよ、兵たちと共にいる覚悟を決め立ち上がる長嶺帝の健気さにも胸を打たれました。
いつものように晴凛無双とはいかず、活躍は控えめでしたが、アーマード晴凛はかっこいいですね!
次回が最終巻となるようですが、反乱軍との戦も一段落して、帝国を変える瞬間が待ち遠しい。