アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者5 (講談社ラノベ文庫) 榊 一郎 ゆーげん 講談社 2012-11-30 by G-Tools |
『アミュテック』の総支配人の加納慎一がなんと誘拐された! 企てたのはエルダントの敵国バハイラム。しかし、様々な政治的な思惑から誰も助けに行かれない? こうなったらと、慎一付きのメイド少女ミュセルが独力での『旦那様』奪還を決意したが、救助は成るのか?
超速変形フェイドラー!
異世界に萌え文化を伝えるため、現地に派遣されたオタク少年の繰り広げる異世界ファンタジー。
異世界でロボットバトルだと! ファンタジーの世界観ぶち壊しじゃねぇか! いいぞもっとやれ!
エルダントの隣国バハイラムに拉致された主人公・慎一を救出するため、敵地に潜入するミュセルたち女の子たちの活躍と、どこにいても誰が相手でも失われない慎一の思いやりと優しさが光ってました。
まったく慎一はオタクのくせにこんなにみんなから愛されやがって、感動しちゃうだろ( ;`д;´)
初っ端から主人公が敵国に誘拐されてて、ロリな猫耳メイドを与えられて色仕掛けに狼狽してて緊張感ねぇわーなんだけど、慎一を拐かした敵国のエージェントはシリアスで、そのギャップが笑える。
初めて訪れたバハイラムは民意を廃した完全独裁国家で、慎一の知る日本の常識とまったく相容れない文化に拒否感や不快感を抱いて、オタク文化の悪用を目論む彼らを拒むオタク魂が潔いです。
慎一がいなくなったエルダントでは外交的な問題で具体的な救出作戦が起こせず、他人がアテにできないならば自分だけでもと思い詰めてしまうミュセルの姿が健気でいじらしくて心を揺さぶられました。
美埜里さんやエルビア、学校の生徒たちも巻き込んで敵地に乗り込み、戦闘については素人のオタクたちが現代兵器やら魔法仕掛けのロボットやらを引っ張り出して繰り広げる救出劇が愉快でした。
バハイラム王国で娯楽や文化を抑圧された国民たちの窮状を垣間見て、このままではいけないと立ち上がる慎一の最後の決意もよかったです。支配するためではなく、開放のための文化侵略へと目的を見出し、伝道師から革命家へとレベルアップした慎一が、オタク文化を異世界に広げて人々の意識に革命をもたらしていく未来の光景が今から待ち遠しい。このシリーズはもっと続いて欲しいなぁ。