一年十組の奮闘2 ~その少女、神聖にして触れるべからず~ (MF文庫J) 十文字青 しらび メディアファクトリー 2012-11-21 by G-Tools |
いきなりやってきた八組の“神聖積木崩し少女"、来見坂つみき。最初は楽しく遊ぶ十組メンバーだったが、「誰もさわることができない能力」を持つつみきの傍若無人なふるまいはどんどんエスカレートし、つみきの側に立つ皆人と、十組メンバーの間に微妙な不和が生まれ……?
人はこんなにもあたたかい
落ちこぼれ能力者ばかりが集められた一年十組が繰り広げる学園群像劇。
友達っていいなー人間っていいなーと思わず歌い出してしまいたくなるような友情の温かみに和みました。
ある日、十組に遊びにくるようになった八組の少女・つみきの横暴とも言える要求に、次第に十組の空気が悪くなり、そんな問題児と十組との間を取り持つために奮闘する主人公・皆人の姿に魅せられました。
一人で泣いている人を放っておけない、皆人のお人好しっぷりに呆れつつも、感動させられます。
和気藹々とした十組の雰囲気に憧れてやってきた、Dカップでツインテールの可愛い美少女つみきですが、本人は遊んでるつもりでも、ワガママな言動が周囲とのすれ違いを生んでいくのが気をもませます。
『誰もさわることができない能力』を持つが故に、人付き合いが苦手で、無自覚に他人を傷つけてしまうつみき側の事情や心境もわかるだけに、十組に嫌われていってしまう光景が読んでて切なかった。
年下の子供と遊んでいる時は、自分から一歩引くこともできるいい子なのに、同年代の十組メンバー相手だと自分を抑えられなくて、どうして加減がわからないんだと、もどかしい思いでいっぱいでした。
他人との接し方が間違いまくってるつみきに、『闘争』を申し込む皆人と十組も、決して彼女が憎いわけではなく、己の過ちに気づいて欲しい一心で、だからこそ皆人の気持ちが伝わったときには涙が溢れました。
本人の望まぬ能力を得たことによって、その人生の生き方や性格が歪んでいってしまうけれど、その悲しみを拭うのもまた誰かの能力で、他人なくしては人間は一人では立ち行かないんだなぁと思わされました。
新ヒロインは歓迎なんだけれど、もうちょっと従来の十組メンバーに焦点が当たってもよかったような。
ラスト、皆人の元に届いたSOS信号に十組はどう応じるのか。次も熱い友情を見せて欲しい。