![]() | 下ネタという概念が存在しない退屈な世界 2 (ガガガ文庫) 赤城 大空 小学館 2012-11-20 by G-Tools |
ペロリスト・華城綾女の起こした“谷津ヶ森のエロ本騒動”は、少年少女に多大な影響を与えた。その結果。「群れた布地」というパンツ泥棒の組織が横行することに…!?暴走に難色を示す綾女とは逆に、「SOX」の新メンバーである女子中学生・鬼頭鼓修理は、下ネタテロを加速させようとするが。
私は下ネタになりたい!
性知識が抑圧された世界で規制と戦う変態テロリストたちのノンストップYトークコメディ。
存在自体が公序良俗に違反している作品である。くだらない!実にくだらないが最高に素晴らしい!
SOXが広めた性知識に触発され、学園の内外で組織だった下着ドロが横行するようになってしまい、SOXの理念に反する彼らの暴走を止めるべく、主人公・狸吉と綾女が奮闘する姿に燃えました。
悪は悪でも、人から求められる必要悪。壮大な革命家と矮小な小悪党の違いを思い知りました。
新たに生まれたテロ組織「群れた布地」は、狸吉や綾女たちSOXとは違い、確固とした思想も信念もなく、ただ自分の欲望のまま他人に迷惑をかけるだけの下着ドロの集団なのに、SOXの名を勝手に借りて大義名分を偽るのだから苦々しい。さらに性知識の流布によってまともな認識を得た生徒が風紀委員として学園を取り締まるようになり、自分たちの行動が逆に首を締める結果になっていくのがやるせない。
新メンバー女子中学生の鼓修理を加えたSOXとしても下着ドロを捕まえようと動き出すんだけれども、下着ドロよりも狸吉のトランクスの臭いに釣られてやってくるアンナ先輩の方がナニコレ怖いwww
健全なはずの体制サイドの生徒会や善導課のキャラクターも、さらりとぶっ壊れているから油断できない。性知識の行き過ぎた規制によって悪に堕ちた者も、正義に盲目な者も同じくらい恐ろしかった。
自暴自棄に陥った「群れた布地」の起こした事件を解決するため、生徒会と手を組むに至った交渉やら、人目を偲んで突入してくるシーンはちょっと誤魔化した感があったのだけれど、大人たちが手をこまねいてできないことを先んじてやってのける展開はスカッとした。SOXは悪だが日本の未来を守ったのだよ。
健常と変態の区別が曖昧になって、読み手の常識を掻き回されるが、それがこの作品の個性だなぁ。