![]() | クライム・ハウンド 柊 ハルヤ 集英社 2006-12 by G-Tools |
【ライコット王国の自警組織「クライム・ハウンド」。ある日、鬼の仮面をつけた謎の辻斬り魔が現れた。見習い生フリッツは、仲間と共に捜査に乗り出すが、王太子の暗殺事件に遭遇してしまい・・・】
「俺たちが命を投げ出しても王太子をお守りしようとするのは、王族だからではありません。クライム・ハウンドとして、守るべき王国の民だからです」
十手と刀、連打!連打!連打!
見習い捜査官の少年少女が難事件に立ち向かう捕物活劇。
「クロス・ハンド」と呼ばれる十手を手に、日々、王都の治安を守る自警団「クライム・ハウンド」。イメージは民衆寄りの「新撰組」でしょうか。まさに本格も本格の武術アクションです。
本屋で表紙とタイトルを見た瞬間、「これだ!」と思いました。
深遊の絵に惹かれたのもありますが見事に「アタリ」でした。
真っ直ぐなフリッツ、潔癖なユリィナ、ガキ大将のデュリックス。
腕は未熟だけれど正義感あふれる見習い生トリオに好印象。
なんといっても、ヒロイン・ユリィナが素晴らしいポニテ武道少女なんですよ! 鬼気迫る戦闘シーンに翻る尻尾萌え!
辻斬り事件を追いかけながら、次第に距離を狭めていくフリッツとユリィナの恋愛模様がもどかしくてたまりません!!
フリッツたちの上司である隊長副隊長コンビも味わい深い。
粋でいなせな颯爽とした隊長よりも、悪辣性悪な副隊長の性格の悪さがにじみ出る遠慮ない物言いが大好きです。
事件のキーマンとなる王太子も飄々としつつ、けじめを弁えているところが気に入っていただけに解決編はとても残念。
クライム・ハウンドの得物が十手というのがえらくシブいです。
ストーリーの一部には練りがいたらない箇所もありますが、
この作品の魅力は、自由自在、縦横無尽に繰り出される十手と刀(サーベル)の技と技がぶつかり合う多彩なアクション。
しかし、表現がクドくなく、あっさりしていて読みやすい。
いままでアクションが苦手って人も、これを読めば、ちょっとはアクションの心地好さを分かってもらえるんではないかと、そして和製ソードブレーカー・十手ファンになることも間違いなし。
ちなみに私はこれを読む前から十手スキーです。
真鍮製のホンマモンの十手も持ってますとも。
この無骨かつ無駄のないスタイリッシュなフォルムがいい。
鈍い輝きとそして丸くてロングな外見。実に「まロい」。
いつもベルトに差して持ち歩いてたいくらいですよ、ええ。
ちなみにリアルでやったら軽犯罪法違反で捕まりますよ?