アニメアライブ (電撃文庫) 秋傘水稀 わだぺん。 アスキー・メディアワークス 2012-10-10 by G-Tools |
姉に頼まれ、自主制作アニメの企画・脚本を担当することになる大学生・真田慶介。緊張しながら秋葉原にある制作室を訪ねてみると…他の制作メンバーは、作画担当も音楽担当も声優担当も、みんな可愛い女子高生だった…!?
夢のために、いまできること
可愛い女子高生たちとアニメ制作に向かって突き進む、きらきらと輝く青春ストーリー
可愛い女の子に囲まれたら、男は誰だって120%の本気の一つや二つひねり出しますよ!
所属していたサークルの解散により行き場を失った主人公・慶介が、それぞれに夢を目指して頑張る女子高生三人と共にアニメ制作に打ち込むうちに創作意欲を燃え上がらせていく姿が眩しかった。
どんな過酷な道だとしても、楽しい気持ちは止められない。夢見る少女たちの若さが弾けてました。
アニメ好きが昂じてドイツからやってきた作画担当アンネ、声優志望でツンデレだけれど努力家の観前、引っ込み思案だが音響には積極的な奈菜。熱意と情熱はあれど、それぞれ周囲から浮いてしまっていた彼女らが創作を通じてチームとして、夢を持つ同士として絆を深めていくところが愛らしい。
シナリオ書きの慶介を加え、女子高生たちとの和気藹々としたアニメ制作風景が微笑ましかった。
本気で夢を目指して努力している女の子たちと接し、アニメ制作に中途半端な覚悟しかなかった自分を恥じて、彼女たちの得意分野や能力を活かす脚本作りに動き始める慶介の姿は、創作者としての喜びとやり甲斐に満ちて活き活きとして見違えるようでした。アニメーター業の厳しい現実や苦悩を突きつけられても、どんな失敗にぶつかっても、それを乗り越えていく慶介とアンネの決意のパワーに圧倒されました。
アニメと言えば日本のお家芸だというのに、アニメーターの労働環境がお世辞にも良いものとは言えない現状には、何か疑問を感じますね。人々に夢を与える職業だというのに、その職業の実態は夢とは程遠いというのはどう考えても間違ってると思うのですが。それでも大人たちから夢を与えられた慶介とアンネが、これからも夢を引き継いでもっと多くの子供たちに夢を与えていって欲しいと願ってやまない。