S.I.A. ―生徒会秘密情報部― (電撃文庫) 長月渋一 NOCO アスキー・メディアワークス 2012-10-10 by G-Tools |
引きこもってネット三昧だった麻波守貴。受験合格を機に、過去を払拭し高校デビューだ!…と試みた刹那。謎の美少女率いる『生徒会情報部』に連行された。そして彼の眼前に、生徒会会長閣下・遊氏茉絢が現れる。恐怖のあまり取り乱す守貴に、彼女が下した『極秘指令』とは―。
消されるな、この想い 忘れるな、我が痛み
エリート校に『学生諜報員』として潜り込んだ元引きこもり少年の潜入スパイアクション。
ライバル校と水面下の情報戦を繰り広げる学園闘争ものかと思いきや、これは予想外にSFだった!
とある秘密をタテに脅され『学生諜報員』となった元引きこもり少年・守貴が、州内一位のエリート校、丸洲学園の教育システムの秘密を探るために学園に潜入し、隠された真実と囚われのヒロインを救い出し、それまでの弱い自分から脱却して成長していく姿が凛々しくて格好よかったです。
いじめられっ子でウジウジとした根暗キャラの守貴が、最初は癪に障って仕方がなかったのですが、『学生諜報員』として潜入した丸洲学園で虐げられていたところをヒロイン・瑞穂に救われ一目惚れし、それ以降、彼女を狙う魔の手から救うために奮闘し始める姿はなかなかに男らしく、怯えながらも危険に立ち向かう勇気と、悪を許さぬ強い正義感を次第に目覚めさせていくから見直しました。
特進クラスとそれ以外のクラスとで絶対的な学力格差、人間差別を作り出す丸洲学園の教育システムの秘密を探るうちに、学園長が企む思わぬ陰謀が明らかになってきて、単なる秀才を生み出す学習法を盗み出すというスケールを越えて、ストーリーが超展開を見せていくのには驚愕させられました。
地球の変革とか、人間の進化とかよりも、一人の女の子を大切に思う守貴の愛に胸を揺さぶられた。
なんかこういうのSF映画で見たことある! 守貴がメッチャ身体を張って活躍してるのはいいんですが、ヒロイン勢は、瑞穂はほとんど監禁状態、遊氏は影で守貴を操って表に出てこないしで、ぶっちゃけ存在地味なような気がするんですが……。出番の量では亜子の方がよっぽどメインヒロインしてたなぁ。
コンセプトに直球で熱い作風は嫌いじゃないです。綺麗に完結してると思うけれど、これ続くのか?