魔王と勇者の0フラグ (角川スニーカー文庫) 宮地 拓海 日向 悠二 角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-09-29 by G-Tools |
魔王城に乗り込んであっさり倒されてしまった女勇者。死を覚悟した彼女が目を覚ますと、そこは牧場!? 側には敵の姿。魔王「勇者ちん、僕と一緒に暮らそう」勇者「ざけんな! 勝負しろ」勇者ブチキレ、二人の会話は空回る!
我のものとなれ勇者ちん
キレ気味美少女勇者ちんと心優しい魔王の、騒々しくも牧歌的なギャグ&ピュアラブコメ。
世界観の牧歌的な雰囲気はいいんだけど、セールスポイント的にインパクトが足りないカンジだなぁ。
自分を倒しに来た女勇者に一目惚れした魔王が、彼女を連れ去って田舎の片隅で牧場を始めて、女勇者や愉快な仲間たちとドタバタな日常を繰り広げていくうちに絆が生まれていく光景に和みました。
まあよくあるパターンといえば、イマドキありがちな設定の勇者と魔王のラブコメものでした、まる。
魔王といえば可愛いお姫様を誘拐しちゃうもの、ということで女勇者に一目惚れしたあげく、眠らせて拐って、牧場経営を始めてしまった魔王くんのバカバカしくも、心優しくピュアな男心が好ましかった。
使命に燃える女勇者としては隠居生活など当然納得できるわけがなく、魔王に戦いを挑むのですが、基本的にレベルが足らないやら、スイーツや食事を与えられて流されていく姿が、ちょろちょろしい。
あまりにもユルい魔王からのラブコールに苛立った女勇者から蹴られたり、殴られたり、冷たい仕打ちを受けながらも、諦めずにアプローチし続ける魔王くんの一途さに泣けました。がむばれ、魔王くん。
世界平和のために努力する魔王の姿に、女勇者も徐々に敵意を持てなくなってきて、後半はツンデレてるだけになっていく勇者ちんの葛藤ぶりにニヤニヤ。彼女も素直に重荷を捨てたらいいのに。
悪い作品ではないのだけれど、やっぱり他の既存作と比べると差別化できそうな個性に乏しい。
世界観は、牧場ゲーみたいで個人的には好きなんだけれど地味に感じちゃうんだよなぁ。
まあギャグコメディとしては、こんなまったり、のんびりして気軽に読めるくらいが丁度いいのか。
濃ゆい設定を盛ったコッテリとした作品を食べ過ぎて胃もたれた人にはオススメです。