とある飛空士への誓約 1 (ガガガ文庫) 犬村 小六 小学館 2012-09-19 by G-Tools |
「多島海」。三つの大国が覇権を争うこの海を、七人の少年少女の操縦する大型飛空艇が親善飛行していた。いずれも、その突出した才を認められた士官候補生たちだったが、「空の一族」の強襲を受け、名も知れぬ島への不時着を余儀なくされる。脱出のために協力する七人だったが――。
誓いの約束は永遠に
七人の主人公が織りなす、恋と空戦の物語
7人の登場人物が誰も彼もが主人公クラス! けれどその中に裏切り者が2人、これは燃える!
飛空士を志す国籍もバラバラな士官候補生の男女7人が、力を合わせて一つの飛空艇を操縦し、『空の一族』の襲撃や度重なる困難や危機を乗り越えて、目的地を目指す光景に胸が熱くなりました。
夢と恋に燃える未来ある若者たちが、戦火に彩られた大空で魅せる煌めき! ま、眩しい!
父親同士の因縁から、激しく衝突し合う主人公・清顕とヒロイン・イリアの恋愛劇が美味しい。
最初は相性の最悪だった二人が過酷な旅を通じてお互いに操縦の腕を認め合い、仲間として信頼が生まれ、ちょっとしたフラグイベントも発生して、異性として意識していく過程の一歩一歩が初々しい。
憎しみと恨みを吹きこまれて男勝りに育ったイリアが、時折、垣間見せる女の子らしさが可愛らしい。
幼馴染のミオとしては、イリアと急に親密になっていく清顕の姿が面白くなくて、嫉妬してしまう姿がいじらしくて、まだまだ自覚の薄い、お互いに淡い恋心のままの三角関係の恋愛模様が甘酸っぱい。
たまたま一隻の飛空艇に乗り合わせた7人でしたが、突然の襲撃やトラブルに見舞われながらも、全員で生き残るために助け合い、友軍基地を目指して旅をする間に築かれていく友情が素晴らしかった。
そんな固い友情で結ばれた7人の中に、正体を秘めた敵国の工作員と、身分を隠した王族が一人ずつ潜んでいるというのが、物語にいっそうの緊張感を持たせてますね。正体を推理するのも面白い。
そして清顕とイリア、二人は本当に愛し合うようになるのか、そして本当に敵味方に別れて戦い合うようになるのか。大空の下で誓い合ったいくつかの誓約は果たされるのか。続きへの期待感が募る。