ヴァルトラウテさんの婚活事情 (電撃文庫) 鎌池和馬 凪良 アスキー・メディアワークス 2012-09-07 by G-Tools |
神々しき美貌をもつ、金髪碧眼な戦乙女お姉さん・ヴァルトラウテと、そんな彼女に一目惚れしてしまった人間の少年。相思相愛らしいが、片方は変な方向に頭が硬すぎる、超『奥手』な少女で、もう片方は後先考えてないけどなぜか結果的には良い感じに落ち着いていく『天然』な少年というカップルだった。
戦姫の新婚生活
天界に住む戦乙女に恋をした人間の少年が繰り広げるラグナロクだってぶっ飛ばす北欧コメディ
かっるーめちゃんこかっるー。ギャグオンリーの世界観だと、いつもの鎌地文体もすごく読みやすい。
戦乙女・ヴァルトラウテに一目惚れした人間の少年が、二人でラブラブするために、神族や巨人族を巻き込んだ大騒動を起こしつつ、ラグナロクをギリギリで回避していくドタバタっぷりが楽しめた。
中二病大好き北欧神話をベースにしたギャグコメディものですが、これは気軽に読めて面白かった。
幼いがために純粋で素直な心根を持った少年の無邪気な行動に振り回される神々が可笑しい。
ヴァルトラウテへの求婚を始まりとして、思いつきで突っ走る少年の予測不能な言動が驚かせる。
戦いを司る戦乙女であるヴァルトラウテとしては、挑まれた勝負を受けずにはいられず、でも、無茶をする少年につい手助けして自滅していってしまう、そんな彼女の生真面目で優しいところが素敵でした。
危険を危険と認識せず一人で突き進んで行ってしまう少年の無謀な挑戦を、天界から見守って一喜一憂して大騒ぎしているヴァルトラウテや北欧神話の神々が、やたらと人間臭くて笑えます。
ときには少年の行動がラグナロク発動のきっかけに繋がったり、あるいはそのフラグを回避したりして、非力な人間の身でありながら神や巨人にも怯まず立ち向かっていく姿は英雄の資質を感じました。
少年に毎度ペースを狂わされっぱなしのヴァルトラウテですが、かといって嫌なわけでもなく、特別ショタが好きということもないが、真正面から求婚してきてくれた相手だし、危なっかしくていろいろ放っておけないわで、なにかと理由や言い訳をしつつも少年に惹かれていく奥手なところが面倒くさい可愛い。
年の離れた姉と弟のような、初々しいカップルの甘々ムードがよかった。僕にも戦乙女一人ください。