ダフロン

2012年08月11日

ご主人様は山猫姫10 北域王雄飛編/鷹見一幸

4048867091ご主人様は山猫姫10 北域王雄飛編 (電撃文庫)
鷹見一幸 春日歩
アスキー・メディアワークス 2012-08-10

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北域行幸に仕掛けられた周到な罠。菰野一派は邪魔者である皇帝を排し、その罪を晴凛に着せようというのだ。だが、悪巧みに関しては天才的な伏龍が、その悪事に気付かぬはずがない。さらに裏をかく皇帝救出計画を立てるのだった。

 龍旗我と共にあり

 帝国人でありながら遊牧民の姫君に仕え、戦いの中で英雄へと駆け上がるヒロイックストーリー。

 子供に未来を与えるのが大人の役目。自分の責務をまっとうする大人たちの活躍にシビレる!
 賊臣による皇帝陛下暗殺計画を察知した晴凛たち北域軍が、皇帝陛下を救出すると共に、ついに南域の反乱に介入して、帝国とシムールの新しい未来を作るために奔走する姿に燃えました。
 主人公の晴凛だけでなく、それぞれ味のある多くの脇役たちと織り成す群像劇が見事でした。

 権威はあっても権力から切り離され、欲にまみれた大人たちに嘘と偽りばかりを吹きこまれて傀儡にされて、やっと宮殿から出れたと思えば、まだ子供なのに殺されかかる長嶺帝が哀れでいたましい。
 晴凛に助けられ北域に来て、ようやく歳相応の少年の素顔を取り戻し、本当の安らぎを得られたのに、状況がそれを許さなくて、それでも皇帝として皆の上に立つ勇気と気概を見せたのは立派だった。

 南域軍の軍師として収まった沢樹による悪辣無比な作戦によって、帝都ギリギリにまで追い詰められる帝国軍ですが、どんな不利な状況でも一矢報いる聡凛の戦いぶりは鬼気迫るものがありますね。
 目前に迫り来る敵と、権力争いに明け暮れて補充人員も物資も送らない帝都の政治家に失望し厭戦ムードが漂う兵士たちの前に、颯爽と援軍に駆けつける晴凛たち北域軍の光景が眩しくて身震いした。

 伏龍の用意した作戦よりもなによりも、長嶺帝の存在が兵士たちの戦う理由、心の支えになっているのだから、無力な子供と言えど、それだけで彼が成した功績は計り知れない。
 先の見えなかった絶望の後に輝ける希望を得て再び闘志が漲る兵士たちの思いに胸が熱くなる。
 帝国の歴史の行末を左右する大決戦に晴凛と仲間たちがどのような結末を迎えるのか見届けたい。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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