仇敵撃破―エクスプローラー〈4〉 北山 大詩 富士見書房 2006-11 by G-Tools |
【響が消えたのは、自分が優柔不断な態度をとってしまったからなのか、思い悩む透の元へ、エクスプローラーからの依頼が舞い込み、赴いた山村で再会した二人の行方は・・・】
「なあに、そんなに戻ってきて欲しいの? あんた、本当に私にメロメロなのねー」
「お前こそ、俺が好きで好きで堪らなくなったから、逃げ出したんだろうがっ」
あー、このバカップルがっ!w
水瀬響が透と薫の前から姿を消して一週間。
二人の能力を駆使しても、まったく彼女の行方は掴めず、
いつになったらお互いに素直になれんだと、非常にやきもきされましたが、フタを開けてみればデレデレにメロメロ!
さすが富士ミス。L・O・V・Eがエナジーっておりました。
とにかく、響と透の痴話喧嘩が最高に美味しい。
まったくヒネクレ者と意地っ張りでお似合いなバカップルだ。
本人たちは取り繕っても、お互いに好きな気持ちが漏れ漏れで、もう物語全体が甘酸っぱい液に浸りきっていますよ。
最初の頃は、大切なものは「金」と言い切っていたあの透が、
寂寥感に突き動かされながら必死に響の消息を追い続け、
ウィルスに侵された彼女を失うまいと、フラフラになりながら神頼みなんかにすがるなんて、コイツは本当に変った!
変ったといえば、このシリーズで一番の成長株は薫ですね。
ここにきて肝が据わったように一気に逞しくなったなぁ。
エピローグでの告白も見事な玉砕でした!君は頑張った!
ということで第一部完。
最後の最後まで臨機応変な展開が飽きさせなかった。
キャラの描くべきところをごく自然にシナリオの中に取り込み、
追い詰める者の熱い興奮と、逃亡者の張り詰めた緊張感がミックスされたサスペンスの傑作と言っていいでしょう。
執筆が早い割によく練られてまとまった作品でした。
それにしても、いつもちゃっかりついて来てるお兄ちゃん。
透くんモテモテw