ソードアート・オンライン 10 アリシゼーション・ランニング (電撃文庫 か 16-21) 川原 礫 abec アスキー・メディアワークス 2012-07-10 by G-Tools |
謎のファンタジー世界に入り込んでしまったキリト。VRMMOチックなその空間で最初に出会った少年・ユージオ。≪NPC≫とは思えないほど感情が豊かなその少年と共に、キリトは央都≪セントリア≫に向かい、そして、二年が過ぎた──。
駆け抜ける、剣閃の如く
現実に限りなく近い仮想世界《アンダーワールド》に閉じ込められた黒の剣士のVRファンタジー。
現実で心配する恋人や妹たちをよそにまた美少女とお近づきになっている! キリトさんパネェっす!
衛士となるべく旅立ったキリトと相棒のユージオが、ついに央都≪セントリア≫へとたどり着き、剣士たちが集う修剣学院へと入学して、それぞれの目標のために駆け出していく姿に心が浮き立ちました。
アンダーワールドで生きるNPCたちとの触れ合いや交流にもドラマがあって感情を揺さぶられます。
重症を負ったキリトさんがアンダーワールドに閉じ込められた事情が明かされ、それと同時に密かに進められていたアリシゼーション計画の詳細が判明するにつれて、その内容に怖気が走った。
しかし、脳神経にダメージを負ったキリトさんを回復させるためには、その手段にすがるしかなくて、現実世界で見守るだけのアスナが可哀想。でも、彼女のことだから仮想世界まで追いかけていきそう。
一方、アンダーワールド内では一年以上もの歳月が過ぎて、地方都市の剣術大会を経て、首都の修剣学院へと堅実な道のりを歩んで目標に近づていくキリトとユージオの姿にリアリティがありました。
アンダーワールド内では当人のレベル以上に魂の力、意志の力がものをいう世界で、キリトさんのソードスキルを持ってしても五分五分という苦戦を強いられるという展開も緊張感があって手に汗握った。
キリトさんに着いている妖精さん(?)は、現実世界の管理者たちが着けた護衛役なのかな。
ゲームとしては奇妙な出来のアンダーワールドですが、そこに生きる人々に必要のない情報を与えず、違和感を抱かせないためにもあえてそうしているんだろうなぁ。徐々に築かれていくキリトさんとアンダーワールドの人々との絆もまたかけがえのない人と人との大切な思い出でした。