![]() | 紅鋼の精霊操者 (HJ文庫) ハヤケン 凱 ホビージャパン 2012-06-29 by G-Tools |
その一人で「紅剣鬼」の異名を持つファスラーン王国軍のリオスは、転属先のオフィンバンド島で現地軍の反乱に巻き込まれる。新兵で竜騎兵のフィリア、工兵のアリエッタとともに正規軍に協力し、反乱軍と戦うリオス。戦いの中、リオスは戦友たちの仇敵、闇の狂戦士キルマールの狂気に満ちた姿を見る
涙でしか癒せない傷もある
魔法を扱える戦士「精霊操者」たちが繰り広げるファンタジー魔法バトルアクション。
あれ、おかしい。凸砂ばかりのアホアホ竜騎兵がこんなに可愛いわけがない! ナイストラップやでぇ。
精霊と契約することで鎧を身に纏い、魔法を操る「精霊操者」の主人公・リオスが、赴任先で反乱騒動に巻き込まれ、仲間とともに敵軍の精霊操者に立ち向かう、息もつかせぬ激戦の連続に燃えました。
古き良き、熱血系バトルファンタジーといった感で、エネルギー消費の大きい作風に敬礼。
若くして「紅剣鬼」の二つ名で呼ばれる歴戦の勇士ながらもやる気のないリオスと、新兵で狙撃の腕は誇れるが頭が悪くて色気ゼロのヒロイン・フィリアの凸凹コンビっぷりが初々しくてニヤケました。
性格がまるで異なる二人がぶつかり合いながらも、反乱軍に荒らされた故郷の惨状を目の当たりにし、共通の宿敵との戦いをくぐり抜けていくうちに次第に信頼と絆が芽生えていくのがよかったです。
大切な肉親を目の前で無残に殺され、復讐心に逸るフィリアに対して、復讐の虚しさと愚かさを悟らせたリオスの悲しき過去は、人間としての理性や良心といったものに訴えかけてくるものがありますね。
強い力を持つからこそ自分の心も強くなくてはならない。自分の怒りのままに力を振るえば、それはキルマールのような狂人と変わらないのだろう。リオスとフィリアが勝てたのも信頼があってこそでした。
エピローグまで、まったくヒロインらしくなかったフィリアの最後の女装姿はずるい。誰だお前は。
魔法を撃ち合うド派手な戦闘シーンとか好きなんですが、最近の設定が複雑化したファンタジー作品を読み慣れていると、どうもストーリーラインがシンプルすぎて物足りない気がしてならない。
王道といえば王道なんだけれど、もうちょっと新要素や独自性、凝ったギミックが欲しかったかなぁ。