フォーソルティアの風/藍原みつと

フォーソルティアの風 藍原 みつと メディアワークス 2006-11 by G-Tools

【飛空船で旅を続けるソラは、ある日、飛空バイクに乗る少女の奇襲を受ける。ギンと名乗るその少女と、しばらく一緒に行動することになるソラだが、彼女にはなにか秘密があるらしく】

すさまじいデジャヴが･･･

大陸が海に沈没し、人々は雲上の空中都市で暮らす世界。
エウェスと呼ばれる飛行船で旅する少年と、特殊な力を秘めたツンデレ少女とのボーイミーツガールズ。
なんだか世界観も、ストーリーもどこかで見たような既視感がぬぐえません･･･。

需要過多なツンデレとは言え、横暴な軍人たちの振舞いに一歩も引かないギンの啖呵は痛快だった。
逆に無鉄砲で頭がガキんちょなソラは、好きになれないな。
その場その場でムチャしてたら、いつの間にかなんとかなったみたいな展開は、さすがに出来杉じゃないでしょうか。

とはいえ、共に危機を乗り越えていくうちにギンとソラが、
お互いに打ちとけていく流れとかは無難によかった。
ソラがこれでもうちょっと落ち着きのあるキャラだったら、向こう見ずなギンを上手くフォローする形でバランスとれてたかな。
親父の茶々は盛り上がるどころか白けるからいらない･･･。

この作品をわかりやすく公式にしてみると、

（ラピュタ＋天華無敵＋テールエンド＋ラストエグザイル)÷５

いえ、÷５で間違っていません。
だってオリジナリティが感じられないのだから平均ではない。
私的評価では、『ラストエグザイル』の消費税率くらいだ。
題材は別にいくらパクろうが構わないんだが、作品自体に個性が感じられないのが問題なのです。
それでは所詮、過去の作品の劣化版にしかならない。

作者自身、作品の核というものを最初に据えず、自分の中の空想をただ書き出してしまっているような気がします。
空想なんてのは、楽しいけれどカラッポなんですよね。
読了感に歯応えがまったくないのはそのためかと。

まあ新人ならこんなもんでしょーよ。

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