![]() | ゆとりガジェット 1 一之瀬ゆとりのヒロシヒーロー化計画始動! (ファミ通文庫) 月本 一 himesuz エンターブレイン 2012-06-30 by G-Tools |
俺の前に突如、現れた謎の発明少女・一之瀬ゆとり。嫌だよ、ヒーローごっことか、もう。って、おい! 何をする!? お前のせいで、愛しの明神さんに嫌われて、家まで追い出されたじゃねーか!! くそぅ、俺は一之瀬の言いなりにならざるをえないのか――。
少年は、英雄になる
悪の組織(妄想)に対抗するためのヒーロー(実験台)になった少年の電波系妄想発明ラブコメディ!
正義のヒーローになって女の子を助けるとか、男なら一度は夢見たことがある厨ニb……ロマンだよ。
天才少女・ゆとりにヒーローの素質を見込まれた主人公・ヒロシが、彼女の創りだしたトンデモ発明品の実験台になったり、ヒーローごっこに付き合わされたり、黒歴史を掘り起こされたり、騒動に巻き込まれながらも、正義のヒーローとして目覚めて人々や街を守るために立ち上がる姿が凛々しかったです。
嘘のバイト広告に釣られ、天才科学者にして発明少女ゆとりの元へやってきたヒロシが、何の役に立つのか使い道がさっぱり分からないけれどオーバーテクノロジーの詰まった数々のヘンテコな発明品の実験台として、吹っ飛ばされたり、痛い目にあったり、様々な災難に見舞われていく光景が愉快でした。
ゆとりの助手・まふゆやその妹のこはるなど、可愛いのにどこかおかしい女性陣も個性的で面白い。
ヒロシを悪の組織と戦うヒーローに育てあげようとするゆとりですが、そもそも悪の組織が彼女の妄想の中にしかいなくて、勝手な期待を背負わされるヒロシとしてはいい迷惑で、おまけに過去の黒歴史まで穿り返され、真剣なゆとりの思いとは裏腹に次第に溝が広がっていってしまうのは読んでいて辛かった。
彼女ももうすこし常識があればよかったのに、常識を教える人が誰もいなかったのが彼女の不幸かな。
凡人には理解できない天才であるが故に、誰もゆとりのワガママを止めようともしなくて、甘やかすばかりだったから間違った方向へ暴走してしまったんじゃないのかな。自分の妄想の世界に篭ってしまった彼女と真正面から向きあったヒロシは厳しくて、でもとても優しかったと思いました。
ときに、盛大にスルーされてたけど本当に怪人いたよな……。悪の組織との戦いはマジであるのか?