ダフロン

2012年06月26日

銀のプロゲーマー/岡崎裕信

4086306751銀のプロゲーマー (集英社スーパーダッシュ文庫 お 3-10)
岡崎 裕信 龍太
集英社 2012-06-22

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ゲームで億を稼ぐ!! 目指せプロゲーマー!! 各ジャンルの天才ばかりを集めた人呼んで『チート学園』に特待生として編入することになった自称“マインスイーパーの天才"五ツ星秋煌!! そこはゲームをして大金を稼ぐプロゲーマー養成所だった!!

 太陽よりも輝く頂天

 超高額な賞金を稼ぐプロゲーマーを目指す少年少女の熱きゲーミングアクションストーリー。

 ゲーマーたちの魂の叫びが込められていてこれは、すばらっ! 全ての大人たちに読んで欲しい。
 各ジャンルの天才児たちが集まる通称『チート学園』に入学した主人公・秋煌が、賞金を稼ぐプロのゲーマーを目指しながらも、人生を賭けて本気でプロを志す周囲の才能と覚悟に圧倒され、実力差に悩み、苦しみそれでも諦めずに頂点に挑戦し続けるゲームへの情熱に胸を打たれました。

 入学早々、プロゲーマーたちの頂点に君臨する天才少女・銀華の実力に打ちのめされ、ただゲームを遊びとして好きであることと、ゲームを仕事としてお金を稼ぐことの格の違いを思い知らされた秋煌ですが、それまでの未熟で素人だった自分を改め、一から再スタートする決意が潔かった。
 銀華との才能の差を具体的な金額として見せつけられたことで逆に火が点くところも熱かった。

 しかし、開発中のオンラインゲームのテスターとして、折角与えられたチャンスをリアルすぎる描写を怖がって逃げ惑っている姿はちょっと情けなさすぎるだろ……ホント役に立たねぇ主人公だ。
 キャラクターメイクのランダム生成で運良く手に入れてしまったチートキャラで大会の優勝は確実のはずなのに、強さをひけらかす程に虚しくなっていくのは、それが本当の実力ではないからだろうなぁ。

 強さに憧れつつも強さに溺れず、高額賞金よりもゲーマーとしての矜恃を貫いた彼の魔王プレイには感動した。量子先輩の失敗は、自分が惚れた男の公平さと潔癖さを見誤っていたことですかね。
 最後の秋煌の大絶叫はよくぞ言ってくれた!と拍手を送りたい。これは天才少女もきゅーんするわ。
 ゲームを仕事とする若き才能を持つプロフェッショナルたちの汗と涙が描かれた良作でした。



◆以下、個人的ゲーム語り◆

 日本人の凝り固まったゲーム軽視・迫害の偏見は、如何ともし難いものがありますね。
 労働を美徳とする日本人の気質なんかが根底にあると思うのですが、『ゲームで遊んでばかりいると頭が悪くなる』というフレーズは誰でも一度は親から言われた経験があるのではないでしょうか。
 でも、頭が悪い人間、努力をしない人間は絶対にゲームでは勝てません。当然ですね。

 例えば、将棋や囲碁のプロ棋士は立派な職業として認められていますよね。中国韓国では将棋や囲碁は知的スポーツと認められていて、知的スポーツにはテレビゲームも含まれます。
 ゲームが上手くても何の役にも立たない? なら野球やサッカーは何の役に立つんです? 音楽や絵画、演劇、文学だって人間が生きていく上では何にも必要のない娯楽文化ですよ?

 娯楽文化は確かに何も生産しません。ただその何の役にも立たないことに時間と労力をかけるには、国が豊かでないとなりません。国が豊かであればこそ娯楽文化は普及し発展するのです。すなわち、ゲームを始めとした娯楽文化は、その国家の成熟度を計るバロメーターでもあるのです。
 平安時代の貴族社会で囲碁は教養であったように、ゲームが強いことは知的ステータスなのです。

 ただゲーマーとしては、作中に出てくる高額賞金ゲーム『セカンドチャンス』には興味がわきません。
 さすがに運要素が強すぎ。宝くじと変わらない運ゲーになんの魅力があるのだろう。運ゲーがしたいならカジノでも行ってギャンブルをすればいい。それはプロゲーマーではなくて、ただのギャンブラーです。
 ゲームとは純粋な思考力と技術力のみによって勝敗を決する知的遊戯であるべきだと思います。

 生まれつきの運や才能に左右されない、ゲームの中では誰もが公平なスタートラインを持っている。そしてかけた時間と努力は必ず報われる、それがゲームの魅力ではないでしょうか。
 勿論、ゲームにも才能やセンスといったものがありますが、スポーツの世界のように体格や筋力など生まれつき絶対に決まっていて覆しようがない要素ではない。ゲームで負けるのは単なる努力不足です。

 アメリカや中国韓国では、高額賞金のかかったゲーム大会は普通に開催されています。
 世界に誇るゲーム機を生み出した日本ですが、いまやゲームでは後進国と言われても仕方がない。
 そうなってしまったのは理解力のない大人たちの偏見と、ゲームを単なる金儲けの手段としているゲーム制作会社にも責任があると思うのですが、そこんところどうなんですかねー。

 ゲーム会社の質は落ちても、ゲーマーとしての腕では日本はまだ世界の頂点に立てるってところを見せてやるために、皆さんもポケモンとかやりません?

B007EJZA4Gポケットモンスターホワイト2
任天堂 2012-06-23

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B007EJYOMUポケットモンスターブラック2
任天堂 2012-06-23

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posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 集英社スーパーダッシュ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
テレビゲームが軽視蔑視されているのは、権威や歴史がないからでしょうね。日本は権威主義的な側面が他の国より大きいと思うんです。偏見だとは思いますけれど。
ポケモンの読み合いは将棋の読み合いと似ているような……そんな気もする。
Posted by iii at 2012年06月27日 14:16
ポケモンは詰め将棋ですね。
お互いにPTからメンバーを選出した時点で勝負のほぼ9割がたが決まってしまうので、あとはどう論理で詰めていくかの作業です。

テレビを見ると頭が悪くなると言われて育った世代が、いまやゲームをすると頭が悪くなると言う大人になっているのだから困ったものです。
Posted by 愛咲優詩 at 2012年07月01日 03:33
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