![]() | エスケヱプ・スピヰド 2 (電撃文庫 く 9-2) 九岡 望 吟 アスキー・メディアワークス 2012-06-08 by G-Tools |
帝都・東京にやってきた九曜と叶葉。復興の進む街で、九曜は機械兵を連れた不遜な少女に襲われる。『第三皇女・鴇子』だと名乗る少女は、九曜に自らを守るように命令する。誰から何故追われているのか記憶がないと言う鴇子。九曜は訝しむが、叶葉は彼女を放っておけないと言う。
その美徳を愛と呼ぶ
荒廃した日本を舞台に、戦闘兵器の少年とその主となった少女が繰り広げるノンストップアクション。
1巻で綺麗に完結していただけに、2巻はどうなるかと心配しましたが、これはアリですね。
帝都東京へとやってきた九曜と叶葉が、何者かに追われている少女・鴇子と出会い、謎に包まれた彼女の出処を探りながら、暗躍する機械兵器と死闘を繰り広げていく熱い戦いぶりに胸が躍りました。
これまでひとつの都市を舞台にしていた物語が、日本全土へと舞台を広げていったのが興味深い。
生真面目で実直な九曜と働き者で素直な叶葉のお似合いカップルぶりに悶えます。
自分たちを襲ってくる正体不明の敵の存在を警戒して、殺伐としてしまった心を叶葉の膝枕で癒される九曜の叶葉へ心を開いていることを伺わせるシーンですとか、叶葉は叶葉で、九曜の何気ない朴訥な優しさを向けられて顔を赤らめたりして、二人とも初々しくてかわいいー。床の上を萌え転がれるな。
死んだと思われていたかつての戦友・巴と剣菱は、九曜と上司と部下、先輩と後輩の関係というよりは、彼を教え諭し導く師と弟子で。さらに鬼虫という絆で繋がった親と息子のような間柄に感じましたね。
鬼虫はただの兵器ではなく、彼らには彼らしかわからない誇りや仲間との結びつきがあるんでしょう。
その思いを汚すかのような甲虫式の存在は、きっと許してはならない私憤があったんだと思います。
真実を知ってショックを受ける鴇子に、叶葉が与えた言葉が素晴らしかった。叶葉は本当いい子やなぁ
今回で世界観が広がり、人と人との関係性も増え、物語のスケールが大きく、さらに新しい謎や新たな敵を備えて奥深いものになって、一気にシリーズとして今後の展開を期待させる作りにカスタマイズしてきたのがすごかった。この風呂敷の広げかたは見事ですね。九曜と叶葉のイチャイチャをもっと見たい。