ダフロン

2012年06月13日

特異領域の特異点 2/範乃秋晴

4048866532特異領域の特異点 2 (電撃文庫 は 10-2)
範乃 秋晴 saitom
アスキー・メディアワークス 2012-06-08

by G-Tools

今や世界国家第一大学一の奇才ともてはやされるまでになった賢悟。そんな賢悟に日本政府が極秘プロジェクト参加を要請。一方、プロジェクト関係者を狙ったテロが頻発。時代錯誤な侍装束に、文字通りの光速の居合を操る怪人物。その男の次の標的となったのが賢悟だった。

 神につながる鍵

 物理法則を一変させる特異領域理論を巡る、天才と変人たちの新感覚空想科学冒険譚。

 玄人向きの難解なSF。一回読んだだけでは細かい世界観の理屈を理解するのに苦労しますね。
 『内外理論』の発表により、一躍天才と持て囃されるようになった主人公・賢悟が、政府主導の極秘プロジェクトの存在を知り、その実験の失敗によって地球が滅ぶ事態に陥った大惨事を収束させるべく、自らもギリギリの危険に晒しながら仲間達と人々を導いて世界を救う姿に魅せられました。

 変人として周囲に馬鹿にされてきた賢悟が、ようやく自分の優秀さを証明して天才と認められたのにはよかったと思いますが、それでも中身は思春期の十七歳の普通の学生で、彩世に無邪気にキスを迫られて、いつも傲岸不遜を地で行く彼と思えぬ狼狽えぶりを見せる一幕が初々しいですね爆発しろ!
 彩世だけでなく機械人形のカナも貞操観念にイマイチ疎くて無防備な姿にT反応がおっきした。

 『人類進化計画』と名付けられた実験の暴走により、被験者や実験施設が半透明の幽霊となって汚染が拡散していく状況で、消防隊や警備隊を率いる立場に立った賢悟と清十郎が、人類を滅亡から救うためにタイムリミットの迫るなか様々な手段を講じていく展開に手に汗握りました。
 全てが死に向かうクライマックスに、賢悟のとった解決策は、もうスケールデカ過ぎて何も言えんよ。

 賢悟が良心の命ずるまま最善の選択を取れたのは、人間の持つ愛情を信じたからでしょうね。いくら機械のような知性があっても人間の心がわからなければ、それは機械以下になるだけなんだろう。
 頭がいいだけじゃなくて、賢悟がしっかりと思いやりの心がある人間で安心した。それもこれも育ててくれた父親の教育が素晴らしかったからで、それがなんでああなってしまったんだろうか……。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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