![]() | 魔法少女育成計画 (このライトノベルがすごい! 文庫) 遠藤 浅蜊 マルイノ 宝島社 2012-06-08 by G-Tools |
大人気ソーシャルゲーム『魔法少女育成計画』は、数万人に一人の割合で本物の魔法少女を作り出す奇跡のゲームだった。幸運にも魔法の力を得て、充実した日々を送る少女たち。しかしある日、運営から「増えすぎた魔法少女を半分に減らす」という一方的な通告が届き……
理想と現実の殺戮場
本物の魔法の力を得た十六人の魔法少女による理不尽で無慈悲な生き残りゲーム。
こいつはすげぇ! 最っ高のクゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッッッル!!!
大人気ゲーム『魔法少女育成計画』によって、変身能力と各一種類ずつの魔法を得た魔法少女たちが、一定数になるまで生き残りを賭けて助け合い、騙し合い、殺し合うおぞましい光景に慄きました。
善意や優しさなど甘い感情をみせれば即座に命を失う、この不条理に満ちた惨劇! 嫌いじゃない!
人助けをすると得られるマジカルキャンディーの少ない者から順に、一週間ごとに一人ずつ脱落(=死亡)させるという一方的な要求を突きつけられた十六人の魔法少女たちが、生き延びるために競争を開始するんだけれど、他の魔法少女からキャンディーを強奪する者が現れ始め、さらには相手を殺害してしまう者まで出現し、どんどん争いがエスカレートして陰惨さを増していくのが恐ろしいです。
どいつもこいつも、人間だった頃からどこか頭のネジが一本飛んでて、サディストだったり、シリアルキラーだったりと、狂ってたり、歪んでたり、真人間とは程遠い澱んだ一面を秘めた奴らばかりなんですが、そんな彼女たちにも、友情や絆が芽生えるケースもあり、ただ力任せにぶつかり合うだけでなく、共闘したり、利用したり、取り引きと駆け引きを重ねる頭脳戦の様相を呈していく展開に息を呑みました。
魔法少女それぞれが特徴的な魔法を使えて、戦闘向けだったり、そうでなかったりするんだけれども、すべてはお互いの相性次第で、戦ってみるまで勝敗はわからないという予測不能の面白さがある。
どこぞの白い淫獣以上にマスコットアニマルが酷い畜生で、明確な悪意をもって魔法少女たちを唆して、嘲笑っていやがるのが胸クソ悪かった。後味は苦いけれど、これこそが人生の苦味なんだろう。
読者の精神を全力でヘシ折りにいく、さすがこのラノ文庫は他とはやることが違うな!(; ・`д・´)