ダフロン

2012年05月21日

対魔導学園35試験小隊 1.英雄召喚/柳実冬貴

4829137649対魔導学園35試験小隊 1.英雄召喚 (富士見ファンタジア文庫)
柳実 冬貴 切符
富士見書房 2012-05-19

by G-Tools

魔女の脅威を取り締まる『異端審問官』の育成機関、通称『対魔導学園』に通う草薙タケルは、銃が全く使えず刀一本で戦う外れ者。そしてタケルが率いる第35試験小隊は、劣等生たちの寄せ集めだった。ある日、超エリートの拳銃使い・鳳桜花が入隊してくる。タケルは魔導遺産回収の任務に赴くのだが

 魔女狩り学園の劣等生

 刀一本で戦う少年が率いる問題児ばかりの寄せ集め小隊が悪に挑む学園アクションファンタジー

 終わりゆく剣と魔法の時代にあって、最後の火花を散らす剣士と魔法使いの生き様に魅せられた。
 魔女を取り締まる『異端審問官』を育成する学園で、銃の使えない劣等生・タケル率いる落ちこぼれ小隊に超エリート少女・桜花が入隊してきて、スタンドプレーが著しい彼女とぶつかり合いながらチームワークを築いていく姿が青春で、悪の秘密結社と戦いを繰り広げていく展開が痛快なアクションでした。

 仲間とのコミュニケーション能力に欠ける桜花を何とか小隊に馴染ませたいタケルと、足手まといになる落ちこぼれ達と関わり合いたくない桜花とのやり取りは、どちらにも一理あるだけに堂々めぐりなのですが、キレやすいタケルと自制のできない桜花と、どこか心に傷を抱えた者同士、お互いに気持ちを通じ合わせていく姿が切なくも優しくて、タケルのお人好しっぷりが引き立っています。

 魔術を使ったテロによって壊滅的被害を受ける学園に駆けつけ、死霊魔術によって召喚された英雄と対峙し、一度は優勢に立つも力及ばずに敗北した桜花を助けに現れる問題児たちの小隊が格好良い。
 刀での接近戦を得意とするタケルと狙撃手うさぎの息のあった連携プレーが見物でした。いつも周囲から見下されてばかりの落ちこぼれたちが、特技を活かして強敵相手と渡り合う立ち回りは燃える。

 ただ、この作品単体でみれば手堅くまとまった出来なんだけれど、今更だと新鮮味が足りない感じ。
 学園もの要素やメカメカしい道具類が出てきたり、最近のファンタジーに欠かせない要素は取り揃えているのだけれど、それだけでは弱いかなぁ。もっと剣や魔法で殴りあってる以外の要素があるとよかったんですがね。ファンタジー好きなコアな読者を引き込むには、さらにあと何かもう一捻りが欲しいところ。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 富士見ファンタジア文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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