ダフロン

2012年05月20日

空知らぬ虹の解放区/秀章

4094513450空知らぬ虹の解放区 (ガガガ文庫)
秀章 綾歌 リュウイチ
小学館 2012-05-18

by G-Tools

恋愛厳禁の全寮制高校・聖ヶ原学園。高校二年の主人公・軒原拓馬は、学園の秩序を守る風紀委員会のホープだ。同じく堅物な風紀委員の相棒・小瀬村衣舞とともに、幼少時よりこの学園で厳格に育てられた拓馬だが、この学園には彼らが知らない学生地下組織が存在していた。

 妄想は日々の糧

 学園の闇で行われる同人誌サークルと地下組織との密かな戦いを描く学園青春クライムアクション。

 厳格な風紀委員として不良の取締りを行なってきた主人公・拓馬が、学園内で密かに活動する同人誌サークル『脳内解放区』の少女・山吹と出会い、他人には理解されにくい性癖を抱えた生徒たちの悩みと向き合い、自分にも気づかなかった一面を発見し、徐々に見識を広げていく姿がよかったです。
 醜悪で奇怪で歪んではいるけれど、それに魅せられて、それを恥じない誇り高さを感じました。

 品行方正と堅物を絵に描いたような拓馬が、学園で起きた事件を解決するために、同人誌サークル『脳内解放区』に接触するも、違法所持で摘発した二次ロリ同人誌にハマってしまい、ミイラ取りがミイラになって、悪趣味だとは認識しつつ自己嫌悪に陥っていく姿が可笑しい。ロリコンは生命礼賛だってばよ。
 拓馬と組んで、彼の道を踏み外させる『脳解』の作家・山吹さんの底意地の悪さがなんともいえない。

 非営利団体を貫く『脳解』に対して、犯罪行為で生徒から営利を貪る『与会』の非合法活動を目の当たりにし、学園に蔓延る真の悪と戦う決意を決めるのだけれども、自分も『脳解』という後ろめたい力を借りている手前、おおっぴらの騒動にはできなくて、表には見えない攻防を繰り広げるアウトロー同士の駆け引きが見物でした。それでも隠そうとすればするほど大惨事を招いていく大騒ぎが愉快w

 妄想と現実を切り分けられない奴は、ただの犯罪者。自分たちは節度とマナーを守って誰にも迷惑をかけない範囲で、そういう妄想を楽しんでいるのだという変態たちのプライドが感じられました。
 厳しすぎる社会は、かえって反発と軋轢を生む。濁った水の中でしか、生きられない魚もいる。大切なのは自分の本性とどう向き合うか。それに気づけた拓馬が今後どう変わっていくかが気になる。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ガガガ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。