![]() | インテリビレッジの座敷童 (電撃文庫) 鎌池 和馬 真早 アスキー・メディアワークス 2012-05-10 by G-Tools |
ここは『インテリビレッジ』。『田舎』という概念が高級ブランド化した地域。表面上は寂れた景色を演出、しかしその裏では科学技術の粋を集め、最先端の田舎というちょっと妙なハイテク感満載の土地だった。田園風景と最新鋭テクノロジーのコラボエリア。それが『インテリビレッジ』だ。
奴らはお構いなしにやってくる
ハイテク化した片田舎で妖怪と暮らす少年が遭遇するオカルティック・コメディ。
古き存在と新しき技術が交差するとき、物語は始まる。妖怪も怖いが、人間も怖い。
最新技術を用いて高級ブランド化された田舎・"インテリビレッジ"に住む主人公・陣内忍が、妖怪絡みの犯罪ビジネスに巻き込まれ、その度に機転と発想で命からがら切り抜けていく姿が面白かった。
見た目は可愛くても、ちょっぴり怖くて恐ろしい妖怪たちがそれぞれユニークで愛らしかったです。
ハイテクな技術とローテクな妖怪が等しく混在している不思議な世界観がポイントですね。
現代の常識や技術にすっかり順応して暮らしている妖怪たちが一癖も二癖もあって可笑しかった。
生半可なことでは殺せない妖怪ですが、狡賢い人間にいいように利用され、妖怪の持つ習性や超常現象を犯罪組織の経済活動に組み込んだオカルトビジネスの醜悪さには思わず目を背けたくなる。
妖怪たちはただ純粋に自分の妖怪としての有り様、アイデンティティに忠実なだけなのに、それを自分たちの金稼ぎに悪用しようと企む、欲望にまみれた人間たちの姿が恐ろしいですよ。
金儲けのために犯罪者たちに歪められた妖怪たちのルールを逆に利用して、窮地を脱出していくところが知能バトル的な駆け引きを演出していて、意外などんでん返しの逆転劇に興奮しました。
望むと望まざるとにかかわらず、騒動の渦中でキーマンとなっていく主人公サイドの男性陣が、チート能力を持ってない普通の人間にもかかわらず、パワフルな活躍ぶりを魅せてくれてよかったです。
コメディというには殺伐としすぎていて、オカルトなサスペンスと言ったほうが相応しい気もする。
いつものハイスピードで駆け抜けるジェットコースター展開もあり、新鮮味もあり飽きさせませんでした。