ダフロン

2012年05月14日

デュアル・イレイザー/折口良乃

404886565Xデュアル・イレイザー (電撃文庫)
折口良乃 黒銀
アスキー・メディアワークス 2012-05-10

by G-Tools

複雑な二人搭乗型ゲーム「デュアル・イレイザー」を一人で操る“ぼっち”な美少女・如月紀沙羅。彼女は全国ランク一位・無敗の天才である。 一方、「パイルバンカーは男のロマン!」と主張する脳筋野郎・東城刀雅。刀雅が紀沙羅の秘密を知ったことをきっかけに、二人はパートナーを組むことになってしまい

 君には最高の相棒はいるか

 天才で華麗な少女と、凡人で脳筋な少年によるアーケード・デュアル・バトルアクション。

 ロボット対戦ゲームは男のロマン。なのにトップランカーが女の子ばかりとはどういうことだ、萌えるな。
 日本全国で大人気のアーケードゲーム『デュアル・イレイザー』の脳筋プレイヤー・東城刀雅が、ランク一位の天才少女・如月紀沙羅の秘密を知ってしまったことから、二人一組のパートナーとなって複雑な境遇にある彼女を支えつつ、並み居る強敵たちと激戦を繰り広げていく展開に燃えました。

 天才プレイヤーの紀沙羅の唯一の弱点がメンタルの弱さって描かれてるけれど、背後で刀雅がゴチャゴチャ言って集中力を乱してるからだろ! 緊張感のない奴の脳天気な発言がちょっと気に障った。
 ぼっちの紀沙羅のためにゲーム外で友達を作ろうとするのはいいけれど、足手まといのくせにゲーム中にでしゃばり過ぎじゃないかな。ゲームでは圧倒的に格上の紀沙羅にどの口が偉そうに言うのか。

 ゲーマーは体育会系部活よりも上下関係に厳しい実力社会ですよ。実力差をわきまえない刀雅の態度には紀沙羅でなくともゲーマーならばこそ、その無神経な物言いに苛立つ気持ちが共感できました。
 わかりやすく脳筋な刀雅がとっさに機転を利かせたり、意外な操縦センスを持っていたことに違和感を覚えなくもありませんが、お荷物を背負ったままプレッシャーに耐えて紀沙羅はよくやったと思います。

 ところでこのゲームって実際にキットが動いてる設定なの? 別に機体をデータで再現してCGで動かせばいい気がするんだけれど……。だって傷つけられたり壊される危険性もゼロじゃないですし。
 カルト宗教に狙われてたり、ゲームに負けると死んでしまうとか、わりとトンデモ設定が混ざってるのは置いておいても、なかなか熱い作品だった。こうしたロボットものがもうちょっと流行ってもいいよなぁ。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
感想を読んでいて逆に思ったのですが、ではどうすれば刀雅はウザくならないで済むのでしょうか?

ロボットにただ黙って紀沙羅と一緒に乗ってるだけではお前何してんだ、それでも主人公かって叩かれたでしょう。

練習しても力量が急に上がるもんでもない。じゃあ刀雅がロボットに乗らないって展開だと、二人一組でロボットに乗って戦うという設定の意味がないです。

ラノベ読んでていつも思うのですが、「凡人でアマチュアの主人公(大体男)は天才でプロフェショナルなヒロイン(大体女)」とどうやったらヒロインが住んでるプロの世界で対等な存在として活躍することができるのでしょうか?

Posted by 雪風 at 2012年05月17日 02:12
雪風さん、コメントありがとうございます。

確かに戦うヒロインものでは、この作品のように男主人公は足手まといな役回りになりがちですよね。
「俺にもなにかできる」と出しゃばると、素人が余計なことをしている、というように読者に見えてしまいます。

思うに男主人公がこうした場合の役割として求められているのは、メンタルケアや体調管理のサポート、客観的な視点からのアドバイスをする、ヒロインにはない特技や長所で助ける、といったところでしょうか。

刀雅は、紀沙羅に余計なストレスを与えてしまって彼女のコンディションを乱しているだけなんですよね。
そもそも護衛という名目なら、筐体に入る必要がないので、動機づけがやや弱いかなぁと。

少なくともゲーム中は黙って格上の彼女に従う。ゲーム外では不器用な彼女のエスコートをする。その二点だけ徹っしていたら大分評価も違ったかと。

刀雅がいないと最後の戦いを乗り切れなかったとも言えますが、磁石を近づけただけで機体が壊れたり、相手のチートパーツをシステム側がスルーしてしまったり、近未来の技術を使ったゲームとしてはややリアリティに欠けるように思いました。
Posted by 愛咲優詩 at 2012年05月17日 21:10
レスありがとうございます。

>思うに男主人公がこうした場合の役割として求められているのは、メンタルケアや体調管理のサポート、客観的な視点からのアドバイスをする、ヒロインにはない特技や長所で助ける、といったところでしょうか。

>少なくともゲーム中は黙って格上の彼女に従う。ゲーム外では不器用な彼女のエスコートをする。

正論ですな、ただそれで売れるか?そもそも出版できるのか?と考えると難しいですね。

どっかのゲームで女の後ろで戦闘の解説してる奴なんて死ねばいいという台詞を思い出しましたよ。

ISなんかで女尊男卑の設定が出てきて話題になりましたが、ラノベ世界ではもうとっくに女尊男卑や男性主人公のお姫様化がスタンダートの設定なんでしょうね。「男は戦ってはいけません。戦うのは見目麗しい美少女でなくてはならないのです。」そんな空気がラノベ全体にありますね。

>近未来の技術を使ったゲームとしてはややリアリティに欠けるように思いました。

作者があとがきで言ってるほど「ロボット物」という感じがしないですね。なんかガンダムビルダーズというか、ミニ四駆っぽい。




Posted by 雪風 at 2012年05月18日 00:06
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