ダフロン

2012年05月02日

オカルトリック/大間九郎

4796697276オカルトリック (このライトノベルがすごい! 文庫)
大間 九郎 葛西 心
宝島社 2012-05-11

by G-Tools

狐憑きの少年・玉藻と、超絶美女でヒッキーな探偵・ねえさんの、奇妙でふざけた、そして真摯なオカルト事件簿。自然発火、物の怪憑き、チュパカブラ……次々に起こる事件を通して描き出されるものは何か? オカルト×トリック×カラクリ=人間の幸福って、どんな物語だよ!

 幸福とはひとりの中にはなく、ふたりの間にある

 引きこもり美女探偵と美少年助手のハッピーでファッキンなオカルト事件簿。

 いやー、登場人物みんないいカンジに病んでたり狂ってたりして、SAN値がゴリゴリ削れていくぞー。
 オカルト専門の探偵・葛乃葉とその助手・玉藻が、巷で起きるオカルト事件を捜査しつつ、自分たちと周囲の人間の幸せを追い求めていく姿が真に迫って、ときに血みどろで生々しい描写が胸を抉りました。
 そして今回も宝島社の方のご好意で発売日前にもかかわらず献本を頂いてしまいました。感謝!

 毎日、同じ部屋で寝起きして生活能力皆無な葛乃葉、通称"ねえさん"の世話を焼いて、探偵助手として一方的に尻に敷かれているのかと思えば、口八丁手八丁でご機嫌を取ったり、他の女の子と風呂に入ったり、丁寧な言葉使いに騙されけれど、案外マイペースでイイ性格をしている玉藻くんが面白い奴でした。
 ときに正義感が強すぎて暴走しちゃうところもあったりして、純粋すぎる行動原理が危うく思いますね。

 葛乃葉も人としていろいろダメな人間なんだけれど、そもそも人ですらなくて……と、二人の馴れ初めと正体が描かれるにつれて、切っても切れない絆の深さと愛情の重さに打ちのめされたり。
 オカルトな事件を通じて超能力者だったり、霊魂だったリ、地球外生命体だったりが関わってきても、その根幹にあるのは俗っぽい人間らしさで、騒動の黒幕たちの悪徳と醜悪さにゾッとさせられました。

 葛乃葉と玉藻くんは見事な依存関係だなぁと関心していたんだけれど、最後まで読んでメンヘラ女子高生イソラたんのヤバさをようやく理解して、こりゃ参ったわ。イソラたんかわいいよイソラたん。
 ガチすぎる内容が精神安定的にちょっと辛いかもですが、ハードでヘヴィな暗黒ライトノベル好き読者にはたまらないかも。訓練された読者ならイソラたんに癒しを得られるよ! ああ、イソラたん(;´Д`)ハァハァ
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