![]() | ミニッツ―一分間の絶対時間 (電撃文庫) 乙野 四方字 ゆーげん アスキーメディアワークス 2012-04-10 by G-Tools |
一分間だけ相手の心を読める能力を持つ相上櫻は、その『ミニッツ』を利用し、クラス内で絶妙な立場を演じていた。しかしある日、ふとした事がきっかけで、自身の秘密を生徒会副会長の琴宮遙に知られてしまう。櫻は、遙の弱みを握り返すため、彼女が提案する心理ゲーム『馬鹿と天才ゲーム』に挑む―。

一分間だけ相手の心を読める能力を巡ってトリックとロジックが交差する、学園騙し合いラブストーリー
え、これで知略バトルもののつもりなの?と思わず戸惑う。騙し合いなんて、それほどないです。
『馬鹿と天才ゲーム』の扱いが呆気なさすぎる。ほんの数ページしか描かれてないじゃない。
それもルールが穴だらけで、フィクションではともかく現実ではゲームとして成立しませんよ。
この程度で「知略バトルがウリです!」って、うたい文句を付けるのは無理がありゃしませんか?
確かに主人公の櫻は同級生を騙して利益を得ていたり、ヒロインの遙と表面上はにこやかに話して裏では激しく牙を剥き合ったりしているけれど、腹黒いキャラが優等生を演じるくらいは普通だしなぁ。
登場人物は多いが、ヒロインは遥と彼方だけ居れば、アザミと茉莉先輩は不要じゃないですかね。ストーリーを進行する上で居なくてもまったく支障ないし。口先だけの男・岸良も何の役にも立ってないし。
一分間だけ相手の心を読める特殊能力「ミニッツ」が、逆に話の面白さを無くしてしまっているのが残念。知略バトルの駆け引きというのは、相手の些細な仕草や言動から、思考を分析して戦術戦略を組み立てるプロセスが見所なので、相手の思考を覗き見て解答を知ってしまうだけなのは興醒めだよ。
駆け引きよりも、主に女心を探るために使われていて、しかも対応が間違ってるのには笑いましたが。
前評判が無駄に高くて、期待が大きすぎたからというのもありますね。先入観と偏見なしにみれば、ごく普通の青春学園ものといった感じで、可もなく不可もない作品に仕上がってると思います。
もっと他のミニッツ能力者が出てくれば面白くなったと思うな。例えば一分だけ未来を予知できるとか、一分だけ止まった時間の中を動けるとか、一分だけ他人を操れるとか、そういう異能バトルを心理ゲームに持ち込めればもっと駆け引きが生まれたんじゃないかと思います。