ダフロン

2012年04月09日

サイハテの救世主 PAPERI:破壊者/岩井恭平

4041002133サイハテの救世主 PAPERI:破壊者 (角川スニーカー文庫)
岩井 恭平 Bou
角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-03-31

by G-Tools

日本の最南端、沖縄県にやってきた沙藤葉は自らを天才だと名乗り、お隣さんの美少女・濱門陸とケンカをしながらも賑やかに暮らし始める。だが葉が記憶を取り戻したとき、世界破滅のシナリオが動き始める!?

 天才のバカンス

 堕ちた天才とそれを取り巻くフレンドリーな沖縄民たちが遭遇する世界崩壊サスペンスアクション。

 天才であることは孤独で不幸でしかない。けれども天才でしかできないことがある。
 世界に名だたる天才でありながら一度の失敗によって権威を失墜し、沖縄へと都落ちした主人公・沙藤葉が、現地人の少年少女に振り回されつつ、周囲で起こり始めた世界の危機に直面し、世界を背負うプレッシャーに怯えながらも必死に立ち向かう姿が情けなくも、凄みに満ちていて圧倒されました。

 ちょっと世間ずれしたマッドサイエンティスト然とした沙藤葉と、そんな彼の発言を戯言とスルーしきってご近所付き合いを繰り広げる濱門陸や照瑠、地元のじいちゃんばあちゃんの掛け合いが可笑しい。
 沙藤葉はなんとしても論文を完成させねばならないのだけれど、お隣さんである陸たちの余計なお節介に邪魔されたりして、沖縄の気さくで長閑な感性に流されて次第に馴染んでいく光景が微笑ましい。

 このままここで静かに暮らすのも良いかと思い始めた矢先、平和な楽園で密かに進行していく世界の危機に巻き込まれ、再び天才として世界を救う大役を背負わされる彼の境遇がちょっと哀れだった。
 自分を頼りにする周囲の過度な期待に押しつぶされそうになりながらも、自分を受け入れてくれた地元民の命を救うために、かつての天才としての力を求めてもがく彼の心の叫びに胸が苦しくなりました。

 天才としての自分でなくても許してくれる場所を得て、どれだけ沙藤葉がどれだけ救われただろうか、でも、その場所を守るためには天才に戻らなくてはいけないというジレンマがもどかしい。
 平穏な日常に忍び寄る世界の危機も、可愛い女の子からの誘惑もどちらも同じくらい刺激的だ。
 こりゃ面白い。でも、これだけだと全然物足りないにも程がある。先の展開が気になるなぁ。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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[現代異能バトル][ラノベ][超人異能バトル][超人][シリアス]サイハテの救世主 PAPERI:破壊者
Excerpt: 「天才とは狂人のことだ!と思えてしまうほどのすさまじい天才っぷりが凄い。面白くて、早く続きが読みたいけど、それよりもムシウタを!」 と思った新シリーズでした。    最初は自称天才の馬鹿かと思ったら..
Weblog: 愛があるから辛口批評!
Tracked: 2012-05-14 22:18
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