ダフロン

2012年04月05日

サクラダリセット 7 BOY,GIRL and the STORY of SAGRADA/河野裕

4041002095サクラダリセット7 BOY, GIRL and the STORY of SAGRADA (角川スニーカー文庫)
河野 裕 椎名 優
角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-03-31

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「能力」が消滅してしまった咲良田。春埼も相麻も普通の少女になった世界で、ケイにだけは「記憶保持」能力が残り、以前のことを覚えていた。たったひとつのことを祈り続けた少年と、二人の少女の物語。ここに完結!

 再生を祈り続ける世界

 三日分の時間を「リセット」することで現実世界の問題や困難を乗り越えようとする少女少年の物語。

 この感動はちょっと言葉では表せられない。ありふれた言い回しだけれど、凄いとしか言い様がない。
 能力の消えた世界で、再び能力を取り戻すことを願ったケイがリセットで過去へと戻り、すべての持てる手を尽くして浦地の陰謀を阻止し、誰もが幸せを望める未来を作り出していく姿が素晴らしかった。
 最後の一片までピースが嵌って絵が現れるジグソーパズルのように綺麗にまとまった結末でした。

 能力が消えた世界で、始めて普通の女の子のように屈託無く日常を過ごせている相麻菫が眩しく、それでも自分の知っている彼女ではないと感じて、元の世界を願ってしまうケイの思いが切ない。
 禁じられていた街の外へと出て、これまで一方的に決別していた家族との再会と二度目の別れをするケイの姿に、器用そうで実は気持ちを素直に表せない彼の不器用な人間性を改めて強く感じた。

 再びリセットした世界へと戻り、仲間を集めて、作戦を練る光景がワクワクしますね。
 浦地たち大人が勝手に押し付けてくる価値観を、子供であるケイたちがひっくり返す、これが痛快。
 どちらが正義で悪かというのは決めつけられないが、浦地たちの敗因は問題と向き合うことを自ら諦めてしまったことかな、あえて過酷な道を行くケイの選択は、仲間の力を信頼してるからこそでしょう。

 これまでにケイが出会い、仲間になった者たちの能力をすべて使い尽くして、そして辿り着いた未来は、まだまだいくつもの困難が待ち構えているけれど、とても綺麗で希望を信じられる世界だった。
 最終巻だけど、これ第一部完ってことにして、第二部を始めてもいいんじゃないかな。まだまだいくらでも続けれそうだけれど、勿体無い。まあ、これ以上続けても綺麗な結末を汚すだけか。新作に期待。



posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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