![]() | 魔法の材料ございます9 ドーク魔法材店三代目仕入れ苦労譚 (GA文庫) 葵 東 蔓木 鋼音 ソフトバンククリエイティブ 2012-03-16 by G-Tools |
代表就任を祝う宴が無事に終わり、ようやく一息と思ったのもつかの間、西の辺境で戦争が始まったという情報で街は騒然としています。ところが、いつものように飛び出すと思っていた旦那様が、何故か今回に限って大人しいのです。毎日わたしに内緒で、アーテちゃんとこそこそ何かしているばかりで
いつか帰るべき居場所
魔法を使う触媒となる魔法材料を商う店のぐうたら店主とお転婆なお姫様の冒険活劇。
いつもお留守番のサシャが切ねぇえええええええ!! もっと大切にしてやれよ三代目!
辺境の地で広がった戦火に巻き込まれるより先にアーテの仲間を保護するため、捜索に乗り出す三代目とアーテでしたが、予想外の失態で悲劇を生むことになって後悔にくれる姿がやりきれなかった。
この作品ももはや個人の戦いの枠を越えて、徐々に国家と国家が争う仮想戦記めいてきましたね。
魔神への切り札となるアーテの仲間の手がかりを求め、ついに居所を突き止めた三代目でしたが、ふとした判断ミスから取り返しのつかない惨事を招いてしまったのは、人助けが信念の三代目にとっては自分が傷つけられるよりも辛かったでしょうね。いつもの彼らしくなく、人の命に優先順位をつけて行動してしまったことが過ちだったのかなぁ。彼に与えられた罰はあまりにも大きく、痛ましかった。
けど、三代目は一人で面倒事を抱え込み過ぎなんだよなぁ。アレもコレも、三代目にしかできないことだけれど、彼の身体は一つしかない。だったら政治よりも彼の一番やりたいことをやって欲しいですね。
リア=メイに支えられていつもの自分を取り戻し、辺境での戦争に終止符を打った三代目でしたが、でもそこはサシャに慰められて復活して欲しかったなぁ。彼女こそ、そういう役どころじゃないかと!
三代目が活躍するにつれてサシャの立場が不憫になっていくけど、彼女こそは三代目が一番守りたい日常の象徴だから仕方が無いんだよなぁ。すべてが終わったらそのときは彼女の元へ帰って欲しい。
今回の戦争はあっさり片付いてしまった感があるけれども、バラキア神国との戦いのいい練習試合になったと思う。次回こそいよいよ本命の相手との戦争だ。三代目がいかに急事に立ち回るか期待したい。