![]() | オズのダイヤ使い (電撃文庫) 末羽 瑛 Tea アスキーメディアワークス 2012-03-10 by G-Tools |
時は『宝石大量発掘時代』「世界の心臓」をカットした最後の宝石職人オスカー・オズワルド。彼は親友の形見である人型重機・Dランページを駆り、親友の仇を探す復讐の旅を送っていた。そんなオズのもとに、「遊石民」だという謎の美少女ロシェリアとアンドロイドの少女エネットが現れ…。
ダイヤモンドは永遠の輝き
宝石を動力に動く人型重機に乗り友の仇を追う宝石職人のロボットアクション
黄金期のアメリカの西部開拓時代のような未来を舞台にしたSFロボットバトルもので、文明が荒廃しきった世界観からすると異世界と言う方が正しいのかなぁ。ロボット以外、あまりSF要素なっしんぐ……。
殺された親友の仇を探して旅を続ける宝石職人の主人公・オズが、とある美女の依頼を受けて騒動に巻き込まれ、仇の手がかりを掴んでいくのですが、とりあえず戦闘シーンは熱かったよ。それは認める。
しかし、これ単品で見れば、ストーリーにしっかりと山谷を揃えて、綺麗にまとまっているものの、10年前の作品ですって言われても通じてしまいそうな、古めかしい雰囲気がいかんともし難い……。
ロボットものを書くにあたって、このジャンルにおけるテンプレート通りに物語要素を整えすぎて、とくに可もなく不可もなく、逆にこの作品だけの持ち味というか、新鮮味が無くなってしまっているですよね。
オールドファンには喜ばれるけれど、ニュービーには面白さが伝わりづらいだろうし、ベテラン読者にしてみればただ古臭くて、ストーリーの先の展開やら、黒幕やらが読めてしまって白けてしまいそう。
あと私は復讐復讐言ってるだけの主人公には魅力を感じなかったな。一つのことに囚われすぎていてその他すべての事柄を蔑ろにしてしまっていて、人間性が浅く見えてしまいました。
ラノベでは不人気と言われるロボットものですが、かといってロボットが不人気というわけではないはずなんですよね。アニメではその季節ごとに必ず1作品はロボット物がありますし、需要はあるはず。
名作といわれるロボットものラノベ作品も結構ありますし、だから、不人気と言われるのは、面白いロボット話を書ける作家が現代にいないだけなんじゃないのかなぁ。他のジャンルとはまた別のスキルを要しますしね。
作品としては問題はないのですが、残念ながら私にはいまさら面白いとは思えませんでした。


