ダフロン

2012年03月10日

クロス×レガリア 吸血姫の護りかた/三田誠

4041001455クロス×レガリア 吸血姫の護りかた (角川スニーカー文庫)
三田 誠 ゆーげん
角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-02-29

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トラブル1回千円のボディーガードを生業とする貧乏高校生、戌見馳郎がある日助けた少女ナタ。彼女は“鬼仙”という吸血鬼たちの最終兵器だった! 馳郎はナタを守るため鬼仙との戦いへと身を投じていくが――!!

 ボディガード、貸します

 吸血鬼の少女と出会った学生ボディガードの少年のボーイミーツガール。

 ストレートに定番な吸血鬼モノ。それなのに何故か新鮮な気がするのは作家の実力なんだろうなぁ。
 トラブル1回千円で請け負う学生ボディガードを営む主人公・馳郎が、とある道端で吸血鬼少女・ナタを拾い、彼女を追ってくる吸血鬼から守るために、非日常の世界へと突き進んでいく姿が素敵でした。
 同作者の『レンタルマギカ』とも世界観を同じくしていながら、まったく違った読み味で面白かった。

 一人暮らしの貧乏生活を過ごしていた馳郎の元にやってきた自称『仙人』の少女・ナタの不思議な魅力と無防備な態度に惹かれつつ、寂れた馳郎の日常が賑やかに、色づいていく光景が和みます。
 ナタに眠る力を巡り、彼女を追って現れる吸血鬼によって、ナタの本当の正体を知ってしまうも、人類の天敵である吸血鬼だからと偏見を持たずに、それまで通りに接する馳郎の優しさが胸を打ちました。

 吸血鬼の兵器として他人に操られ利用されるばかりのナタの境遇が切なく、自分の意志ではなかったにも関わらず、自らの犯した過去の咎を背負って、罰を受け入れているナタの覚悟がやるせない。
 圧倒的な肉体能力、そして超常現象を巻き起こす鬼宝を持つ吸血鬼と比べれば、非力で無力な人間なれど、そんな人間が持つ科学と金の力で対抗する異色のバトル展開にテンション上がりました。

 己に与えられておきながら、これまで背を向けていた非日常の世界と向き合う決意を定め、身に余る力と漲る自信を得て、ただの学生から頼れる男に変貌していく馳郎の姿が印象的でした。
 序盤からは予想もつかないストーリーの後半から一気に広がるスケールの大きさが魅力的でした。
 設定だけならベタベタの学園異能ものなのに、読み応えがあるのが凄かった。次回以降も期待。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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