ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件 (ファミ通文庫) 野村 美月 karory エンターブレイン 2012-02-29 by G-Tools |
『グリンダ・ドイルを廃業する』そんな言葉を残して、“万能の天才”グリンダは、同盟国への派遣を目前に失踪した。というわけで身代わりとして白羽の矢が立ったのが、グリンダの双子の弟、つまりこの僕、シャールだった。いや無理! 僕男だし! 天才の姉と違ってニート予備軍の浪人生なのに!
天才になった僕がモテモテでヤバイ
女装させられ同盟国の王様一家の家庭教師をやることになった少年のファンタジー家庭教師コメディ
女装した男の娘が王子様王女様の家庭教師になってモテモテ、って、なにこれすげー変態だー!
天才少女である姉の身代わりとして、同盟国の王族の家庭教師になった主人公・シャールが、周囲に正体がバレないように立ち回りつつ、王子様や王女様と信頼を深めていく姿が微笑ましかったです。
並行しているもう一つのシリーズとは違ってコミカル風味で、何も考えずに読めて面白かった。
教え子となる王族ファミリーがバラエティ豊かで、生真面目な第一王子や無表情な第一王女、おませでイタズラ好きな双子姫、おっとりとした第二王子と、美形揃いのお子様たちに振り回されるのが愉快。
何をしても万能の天才である姉と比べると落ちこぼれもいいところのシャールですが、前評判の高さでドジを踏んで失敗しても周囲が良いように解釈してしまい、ますます評判を呼んでいく光景が可笑しい。
頭のいい人間や位の高い人間にはない庶民感覚で一風変わったセレブファミリーに接していくうちに徐々に信頼を得ていき、一方で女装してからモテ期が到来してやたらと男からのラブコールを送られるようになって、喜ばしいこと面倒なことが同時に振りかかるシャールの毎日が刺激的で楽しい。
っていうか、シャール自身もやたらと惚れっぽいよなぁ。立て続けにフラれるのがまた笑えるw
天才であるが故に他人から理解されにくい第一王女・聖羅の孤独な心を解かしたのも、同じ天才の姉と付き合ってきたシャールだからこそできたんじゃないかなぁ。普段はダメダメでヘタレた少年だけれど、イザというときに逞しさと凛々しさを垣間見せるところが、なかなか格好良くて好感が持てました。
コミック版もすでにあるみたいだけれど、これは面白そうだから購入を考えてみるかなぁ。続編はやくー