狼と香辛料 3/支倉凍砂

狼と香辛料〈3〉 支倉 凍砂 メディアワークス 2006-10 by G-Tools

【祭りで賑わう町クメルスンにやってきたロレンスとホロ。そこで二人は、若い魚商人アマーティと出会う。ホロに一目惚れした彼は、ホロの借金を肩代りし結婚を申し込むと言い出して･･･】

「俺の荷馬車にはお前がいるからな」

あまあぁぁ(´∀｀)ぁぁいい！！！

甘い言葉と絶妙な駆け引きが魅力のシリーズ三作目。
羊飼いと狼の対決の次は、商人同士の決闘です。
それもホロを賭けての白熱した株式競争にまで発展。
些細なすれ違いから、今度ばかりはホロを味方に出来なくなったロレンスの苦悩と、そこからの奮闘ぶりがいいです。

それまでどんな状況でも余裕たっぷりだったホロが、
故郷であるヨイツが滅んだことを知って取り乱す姿には、
初めて彼女が弱い存在に見えて涙を誘います。
しかし、ロレンスはその後のホロの謝罪の真意をちゃんと汲み取って、正面から向き合わないといけなかったよ。
ほんの少しホロとの絆を信じ切れなかったのが彼の失敗。

相手からの好意に自惚れて、何もアクションをしなければ、
女はすぐにでも離れて行ってしまうということでしょうか。
ときに感情に走るべきか、もしくは理性で立ち止まるべきか。
それも商人の器であり、女に対する男の甲斐性なのでしょう。

ストーリー上で勝敗のカギとなる黄鉄鉱の売買に、
この世界ではまだ誕生していない「株」の概念を練り合わせ、
乱上下する価格の推移に意識が同調してハラハラさせます。
諦めかけたところで意外な活躍のラント君ナイスフォロー！
最後には、やはり手玉に取られるロレンスと意地悪く笑うホロを見ることができて、ホッと安心感がこみ上げてきます。

実に美味い。なんでこんな美味い会話がひねり出せるのか。
帯にあるホロの扇情的なセリフに釣られてはダメです。
文面通りに読んで、直接的な台詞に踊らされているようでは、
このシリーズの真価は味わえません。
とくに素晴らしいのは、読後感です。本を閉じて机に置き、
物語を思い返したまさにそのとき最高の至福を味わえます。

ときにこの本をきっかけにネット株を始めることにしました。
現在、勉強中。

カブドットコム証券ハンドブック―はじめてのネット株 ブリッジワークス by G-Tools