![]() | 昼も夜も、両手に悪女 2 (ガガガ文庫) 鳥村 居子 Tiv 小学館 2012-02-17 by G-Tools |
表向き優等生の生徒会長・日向さんには「奴隷」として扱われ、さらに「魔女」こと月夜にはことあるごとに呪うと脅され……。こんな状況に嫌気が差した僕は、クラスメイトの不思議な少女・藤森文子に軽い気持ちで悩みを相談するが……。それが新たな「呪い」の始まりだった!

小悪魔な女の子たちと不思議な力に翻弄される少年の修羅場ラブコメ。
誤解なきように言っておくと、私は好きですよこのシリーズ。1巻のときは、ガガガ文庫もようやくピュアなラブストーリーを書ける新人を出してきたか!と一人テンション上げていたのだけれど、1巻に比べて今回の2巻は面白くなかった。つまらないどころか、読んでいてイライラさせられっぱなしでした。
主人公の庄助がこれまで積み上げてきた石を不条理に横から崩されて、また一から積み上げ直しているだけで、ストーリーの不毛感が果てしない。
前巻でダブルヒロインにフラグを立てて、今回から一人の男を巡って二人の悪女による泥沼の愛憎劇が始まるぜヒャッハー!と期待したのに、蓋を開けてみればドロドロの修羅場どころか、これまでの関係がリセットされて無関心にシカトされ続けるばかりで、なにこれ期待してたんと違う、コレジャナイ……。
俺らは冷たくあしらわれたいんじゃない、蔑んだ瞳で見下されて罵られたいんだ!
他人から見れば羨ましい境遇の庄助だけれど、彼の愚痴もそれなりに当然の悩みだと理解できるし、ちょっと愚痴をこぼしただけで、この仕打ちはあんまりでしょう。藤森は偉そうに庄助が悪いって決めつけてるけれど、明らかに故意の悪意があったし、現にこの状況を面白がってるじゃん。
いや、それが新たな悪女・藤森文子の悪女たる所以で、読者としてはそのドSっぷりに呼吸を荒らげないでもないんだけれど、被害者である庄助本人が納得してしまうのは、ちょっとおかしいよ。
月夜とか、人の話を聞かずに逃げまわってばかりで面倒くせぇな! 相変わらず呪いとか、男女の仲とか、思い込みが激しくてコミュ不全なのが痛々しくて、ちょー可愛いじゃないですか!
まあ私が勝手に過度な期待してて、裏切られたと思い込んでいるだけなんですが、それにしてもこのシリーズの見せ場は修羅場だというのに肝心の修羅場を描かないのは肩すかしもいいところ。
もうお前らは忘れないように、お互いの写真とか、日記とか、ちゃんとつけておけよと。次回こそはちゃんとした修羅場が見たいです。