アウトブレイク・カンパニー〜萌える侵略者2 (講談社ラノベ文庫) 榊 一郎 ゆーげん 講談社 2011-12-28 by G-Tools |
神聖エルダント帝国に、『萌え』を売り込む事になったオタク少年加納慎一。乾いた土地に水が染み込むように、オタク文化はエルダント帝国に根付いていってしまう。慎一は、自分は侵略者なのか、と悩むが、献身的なメイド少女ミュセル等の助言で、自らの取る道を模索。その意外な逆転の作戦とは?
異世界アキバ化計画侵攻中
異世界に萌え文化を伝えるため、現地に派遣されたオタク少年の繰り広げる異世界ファンタジー。
正統派ファンタジーの世界が徐々に現代のオタク文化に毒されていく!w トールキン涙目m9
神聖エルダント帝国での生活にも馴染み、友人との間も良好だが、異世界へのオタク文化推進事業も順調であるほどに、侵略者としての葛藤と苦悩に苛まれていく主人公・慎一の思いが辛かった。
大好きなオタク文化を大人たちの都合で侵略の道具に使われた慎一の繰り出す奇策が痛快でした。
オタク文化浸透しすぎだろ! マニアックなエロゲ談義をするファンタジー世界の住人テラシュールw
ハマってしまった中には萌え中毒になって禁断症状がでたり、引き篭もったりして、なんという俺らw
異世界に新たな社会問題を産み出してしまったけれど、オタク文化によって長年の異種族間の溝や身分の差、生まれの違いを乗り越えて連帯感、仲間意識が生み出されていく光景は素晴らしかった。
オタク文による文化的侵略の影響が良きにせよ悪きにせよ目に見えてくるにつれ、自分のしていることに疑問を抱き始める慎一ですが、けれど、そうやって思い悩むのも、エルダントの人々を元の世界の人間と同じ以上に好きになってしまったからですよね。ミュセルやぺトラルカを裏切れなくて、日本政府の思惑を越えて動き始めるところは熱かった。日本政府はあまりオタクを舐めないほうがいい(ゴゴゴゴ
自分自身の行動や判断でひとつの世界を変えられるというところに、とてつもないロマンを感じます。
というかそもそもオタク文化って文化的侵略の武器としては向いていない。ある程度の基礎さえあれば簡単に技術を模倣・習得できて、市場の需要を自給自足で賄えてしまうから。技術的に再現困難で輸入に依存するしかない美術品芸術品とはまた違う。需要の独占のしようがない。偉い人はそれがわからんのです。
花開いたオタク文化に異世界と地球の偉い人たちが今後どう動いていくのか、期待感が尽きない。