![]() | 四人の魔女とエメラルドのキス (MF文庫J) 石川ユウヤ みついまな メディアファクトリー 2011-11-23 by G-Tools |
緒伏麻琴は監禁されていた。見た目だけ美少女、中身は天然というかちょっと過激なクラスメイトの火澪沙耶の手によって。「冬姉に近づかないで!」彼女の剣幕は並々ならぬものだけれど麻琴は冬姉のことを知らないし――ここひと月の記憶が何もないのだ。

ヒロインがいろいろ酷い。相変わらず、この先生の描く作品はヒロインに可愛げが欠けてるな。
ツンデレというとお約束に思えるんだけれど、主人公と会話が通じてない、一方的な思い込みで突っ走って自滅する、自分が悪いのに反省もなくやたらと暴力的という、長所や可愛いらしさが見つからない。
主人公へのツンも、結局は自分へ劣等感の裏返しで、なんかいろいろ情緒不安定でイタい。
主人公もふにゃふにゃしてどうにも頼りない。いろいろ考えている素振りは見せるものの、いつも行動は他人まかせで受け身で動くからヒロインたちに振り回されるし、敵にも簡単に騙される。
サブヒロインもなんか見るからに怪しげで信用できないっていうか、ことあるごとに都合よく情報を与えてくれてミスリードされてるのがわかるじゃないですか。伊吹さんは可愛いかったけど、出番ねえええ。
これまでのシリーズを見返すと、まず主要キャラクターに魅力が足りない。
どうすれば読者に好感を持ってキャラクターたちを受け入れてもらえるのかという感性がズレてる。
今回のようにキャラの属性をテンプレに日和っても、まずキャラクターの背景、人間関係、行動原理に読者の共感が得られていないので理解しづらい。いつも成長しない意固地なキャラになってしまっている。
オリジナリティについては今更とやかくは言わないけれど、ストーリーにも練りが足りない。
話の流れが単純すぎる。読者に展開を先読みされるのはあってはならないことでしょうよ。
それとテーマが明確でない。話の見所が魔法バトルであればもっと戦わせるべきだし、ラブコメであればもっとヒロインとの心の交流を描くべきが、つまらない探索にページ数を割いている。これは無駄です。