ダフロン

2011年11月21日

最弱の支配者、とか。/竹内佑

4094513051最弱の支配者、とか。 (ガガガ文庫)
竹内 佑 明星 かがよ
小学館 2011-11-18

by G-Tools

「総統様!」空から落下してきたその少女は、地面に突き刺さったまま俺に叫んだ。 いや俺、高校一年生だし人違いですよ。放課後、担任の先生に呼び出された美術室で、その少女と不吉な再会を果たす。隣にはなぜか保健室登校のクラスメイトの姿も。「これで総統閣下の部下が三人、現代に 揃った!」

 間違えて人は初めてやり直せる

 未来の総統閣下である主人公を守るため、未来からやってきた少女たちとの学園ラブコメディ。

 地味な主人公が地味な活躍をして地味にハーレムを築いて地味に成長する地味だけどイイ話。
 30年後の未来の世界の支配者である主人公・松原ユキトを守るため、未来からやってきたという少女たちに平凡な日常生活をかき乱されつつ、弱い己を叱咤して立ち上がる姿が格好良かった。
 目立つことを恐れ、平凡な人生を志していた主人公が指導者へと変わっていく成長ぶりが見所か。

 平凡な小市民を目指し、理想の高校デビューを果たしたユキトの学園生活が、彼の意に反して現れた未来の部下たちのせいで、徐々に騒がしく賑やかなドタバタに彩られていくのが可笑しい。
 ところかまわず「総統様!」とユキトを呼んで慕ってくる空気の読めない桑畑がウザカワイイし、美人教師・新出のミステリアスな魅力や、いじめられっ子でメガネっ子の権藤の素朴な言動にも癒される。

 最初は空想じみた彼女らの話を信じず、教室では事なかれ主義を貫いていたユキトであるものの、クラスのアイドル渡邊さんの窮地を前にして何も出来なかった自分を恥じ、変わろうとする決意が胸にクる。
 ヒロインたちが従っているのは、未来の支配者としてのユキトであって、ただのヘタレ男子高校生ではないというのが明確で、困ったときに助けてくれる都合のいいキャラになってないのが逆によかった。

 ただ、このままで成長していくと命を狙われるような独裁者にはならないような気がするんだけど。
 いろいろ描きたいものはあるのだけれども、方向性が定まらずに迷走してしまっているカンジですね。
 面白いんだけれど、どの場面が一番に見せたいシーンなのかというのがブレてしまっていたかも。
 挿絵のページがラフなスケッチというのも斬新だけれど、赤一色のカラー口絵といい、勿体無いんじゃ。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | ガガガ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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