![]() | 十三番目のアリス 伏見 つかさ メディアワークス 2006-08 by G-Tools |
【傲岸不遜な九条院アリスは、十五歳の誕生日を控えたある日、彼女を「十三番目」と呼ぶ謎の少女が現われる。平穏な学園生活を謳歌していたアリスに、突如訪れた過酷な試練。】
※この作品はツンデレです
『異能を操るツンデレ美少女と心優しい男の子』という、
いつまで続けるつもりなのかもはや電撃文庫のステロタイプ。
近年稀に見る純朴少年、三月に対し下僕の如き扱いをする
Sッ気たっぷりなアリスは美味しいのだけれど、生憎とストーリーについては予定調和の域を出てない。
人気筋の基本形をコピーするのは構わないのですが、
もっと他とはここが違うんだというアレンジをしてくださいよ。
読む側にとっては、どの点をとっても没個性に過ぎる。
月一くらいで新しいシリーズの出てくる学園異能モノですが、
今後、プロット段階での練りこみが今まで以上に必要ですね。
まあ相対評価を止めて、作品単体で見ればなかなか。
傲岸不遜なアリスを唯一トキめかすことのできる三月は相当なやり手です。
ストイックなところのある怜奈にかかると、いくら毒舌を吐こうがイジラレキャラになってしまう絡みも面白い。
典型といえば典型のツンデレの旨味をきっちり搾り出している手腕は認めてもいいかも。
デビュー作なのにもう続巻を決定しているというハナシです。
変わり目栄えしない異能アクションはいらないから、
ゴスロリ描写と日常パートだけは厚く見積もって欲しい。
なんかもう電撃編集部のルーチンワーク化した企画思想を垣間見てしまうのですが、読者の求める新境地に達するには、もはや作家の良心に頼るしかないのだろうか。
たまに出る問題作は、そのまま埋めておきたい地雷作だし。


