ダフロン

2011年09月19日

灼熱の小早川さん/田中ロミオ

4094512918灼熱の小早川さん (ガガガ文庫)
田中 ロミオ 西邑
小学館 2011-09-17

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人間関係も勉強もそつなくこなし、万事如才ない高校生となった飯嶋直幸。県下でもトップレベルの進学校に入学した彼は、なに不自由ない学園生活を手にした。伝統と自粛のバランス――そんな口当たりのいい雰囲気に突然水を差したのは、クラス代表となった小早川千尋だった。

 炎の剣を魂に宿せ!

 無秩序を嫌う優等生の少女と人当たりの良い少年が体験する学級崩壊青春ストーリー。

 これのどこがラブコメなのかと小一時間。ラブとか、コメディとか、そんな甘いものはなかった。
 場の空気を読むのが得意で何事にも器用な主人公・直幸が、生真面目な優等生・小早川さんと出会い、クラス代表として学級崩壊寸前のクラスをまとめるために必死に藻掻く無残な姿が胸に迫った。
 普通だったクラスが些細な積み重ねで徐々に壊れていく過程に得体の知れない恐怖を感じました。

 イタい人の行動を観察するのを趣味とする闇属性の直幸と、自分にも他人にも厳しい苛烈な火属性の小早川さんの、自分こそが一番正しいと思い込んでいるパーソナリティが、どっちもどっちで痛かった。
 最初は校則順守を押し付ける小早川さんの横暴を止めるために近づいた直幸でしたが、誰よりも気高くて真っ直ぐだけれど、人付き合いが不器用で孤独な彼女に惹かれていくのが微笑ましい。

 クラス代表としての活動をこなしていくうちに、自分がよりどころとしていた「空気」は、高校という場所の、さらに1−Bの教室の中という狭くて幼稚な社会でしか通用しないんだとようやく気づいて、八方美人で都合のいい子供から、誰かのために行動できる大人へと成長していく直幸に気の晴れる想い。
 学園祭に向けて二人の距離も縮んだかに思えたのに、関係が崩れるのはあまりにあっけなかった。

 最近は、空気を読めないことを非難される風潮がありますが、もしクラスメイト全員が自分勝手にその場のノリだけで動いたらどうなるのかという、集団心理の恐ろしさをたっぷり刻みつけられましたね。
 しかし、この荒れ果てたクラスをどうやって更生させるんだと心配してみれば、最後の強引な軌道修正にぶったまげた。そこの展開まではすごくいいのに・・・・・・。この作品自体が大炎上しないかが心配である。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | ガガガ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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