ダフロン

2011年07月11日

回る回る運命の輪回る 僕と新米運命工作員/ 波乃歌

4048706896回る回る運命の輪回る―僕と新米運命工作員 (電撃文庫 な 15-1)
波乃 歌 pun2
アスキー・メディアワークス 2011-07-08

by G-Tools

どこにでもいる、平均よりちょっと下くらいの高校生、野島浩平。だが彼の前に現われた美少女工作員・ノアは、浩平が運命を狂わせる存在《イレギュラ》なのだと告げ、なぜか『弟子』として家に居ついてしまう。

 運命の歯車はひとつでは回せない

 運命を狂わせる少年と謎の美少女工作員のハートフルフェイトストーリー。

 設定や展開は地味だけど、こころがほんわかふんわかする良いボーイミーツガールでした。
 無意識に運命を覆す存在≪イレギュラ≫である主人公・浩平が、未来を予知し世界をより良い方向へ導く≪ソサエティ≫の美少女工作員ノアと出会い、監視という名目の同棲生活を過ごしていくうちに機械のようだったノアに人間味や感情が芽生えていき、お互いに惹かれ合っていく姿が微笑ましかった。

 物心つく以前から工作員として育ったが故に、世間知らずでちょっと一般的な感性とはズレたノアですが、真っ直ぐで素直なところが可愛い。どんくさいけれども友達思いな浩平が振り回される光景も和む。
 浩平の家に押しかけなし崩しに居候の座に居ついてしまったかと思えば、学校にまで紛れ込んできて騒動を起こしていく。けれどもそうした一般人の生活を垣間見て情緒を育んでいくのが素敵だった。

 ノアとの出会いをキッカケに、いままで疎遠になっていた幼馴染と向き合う決意をし、ありし日の友情を取り戻していく浩平と友人たちの関係も素晴らしくて胸がいっぱいになりましたね。
 自分を庇うためにたったひとりで出ていってしまったノアを追いかけて、凶悪な敵と立ち向かう浩平もなかなか格好良かった。彼自身、特別な能力を持っているけれども、どこまでも等身大でそこがいい。

 他の一般的な学園異能やラブコメと比べると、ことさら派手なアクションシーンや萌えなサービスシーンはないんだけれども、読み手に過度な刺激やプレッシャーを与えないのでリラックスして読めました。
 イマドキのエンターテイメント志向ばりばりな作品ばかりを読んだ後だと逆に新鮮に感じるかも。
 四次選考落ちのこの作者に何が足りないかというと、ずばり作品のインパクトなのですが、話の優しい雰囲気が壊れるからこの作風はこれでこそ価値があると思った。次回作が楽しみ。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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