魔法科高校の劣等生 1 入学編 上 (電撃文庫 さ 14-1) 佐島 勤 石田 可奈 アスキー・メディアワークス 2011-07-08 by G-Tools |
魔法が現実の技術となって、一世紀。この『魔法科高校』にも、一組の血の繋がった兄妹が入学した。どこか達観したような面持ちを見せる劣等生の兄と、彼に肉親以上の想いを抱える優等生の妹。二人がこのエリート校の門をくぐったときから、平穏だった学びの園で、波乱の日々が幕開いた。
魔法学校に吹き荒れる新風
現代のエリート校である魔法科高校に入学した兄妹が繰り広げるマジカルバトルアクション。
建前では劣等生となっているけど、主人公がどうしようもないほどチートじゃねぇか……。
現代のエリートである魔法師を育てる魔法科学校に補欠要員として入学した主人公の達也が、優等生の妹・深雪に慕われながら、選民思想にまみれたエリートたちを相手に無双する光景が痛快でした。
典型的な俺TUEEE系小説だけど、それも含めてしっかりと世界観が組み上がっていて面白かった。
高校生にしては不思議なほどストイックで冷静な大人びた達也のキャラがなかなかに好印象。
血の繋がった妹でありながら家族愛以上に兄を慕う深雪のブラコンっぷりが相当なものでしたが、達也も優秀な妹に甘いところがなんともニヤニヤでした。お互いの距離感が近いのも自然体でいい。
二人の家庭には複雑な事情があるようだけど、まあシルバーなんとかさんの正体は達也だろうな。
正真正銘のエリートである一科生とそのスペアとして扱われる二科生との間で差別的な格差がありはするけれども、魔法科高校に入学できる時点で二科生であっても世間一般からすると秀才なんでしょうね。魔法への適性で優れているけれども視野が狭くどこか画一的な一科生と比べると、二科生たちの方がバラエティに富んだユニークな面子が揃っていて楽しそう。生徒会のメンバーもみんな魅力的。
入学したばかりだというのに同級生やら上級生のヒロインたちへのフラグの乱立ぷりがヤバい。
通常の評価基準では表われないところに真の実力が隠されてるというのはお約束ですが、魔方陣を見ただけで魔法を特定できるほど頭脳明晰で体術だけでエリートを圧倒できる戦闘力があって、どこが劣等生やねん。科学と融合し技術体系が整えられた魔法の設定がブ厚いのもよく練られていました。
とりあえず、世界観の説明とキャラ紹介だけで1巻終わってしまったので、今後は人間ドラマに期待。