ブラック・ブレット―神を目指した者たち (電撃文庫 か 19-1) 神崎 紫電 鵜飼 沙樹 アスキー・メディアワークス 2011-07-08 by G-Tools |
東京エリアに住む少年・蓮太郎は、対ガストレアのスペシャリスト「民警」として、相棒の幼女・延珠とともに、日々、危険な任務を遂行していた。二人はある日、東京を壊滅させかねない極秘任務を受けるのだが……。
これが彼らの生存戦略
人類を脅かす怪物と戦う少年少女の近未来ヒロイック・アクション。
主人公は高校生、ヒロインは小学生。それで六畳一間で同棲生活とは、ロリコンはじまったな!
ガストレアと呼ばれるウイルス性変異生物の退治を仕事とする主人公・蓮太郎が、突如都市を襲った驚異に対して相棒の延珠と共に、ときに心を傷つけられ、ときに命をかけて戦い抜く姿が熱かった。
息つく暇も与えない怒涛のストーリー展開とスリルと緊張感溢れる重厚なアクションが見所です。
可愛くておませな延珠とあくまでも保護者の立場を崩さない蓮太郎の関係がいいですね。
産まれながらにしてガストレアのウイルスを保持し、超人的な身体能力を持つ『呪われた子供たち』である延珠を私生活では家族のように見守り、仕事の場では相棒として信頼し、さりとて社会的背景により虐待を受ける彼女たちへの偏見や差別にはどうすることもできない蓮太郎の憤りがもどかしい。
ひとりの狂人の行動に端を発する陰謀から、都市の滅亡を阻止する任務を与えられ、わざわざ自分に冷たい人々を助けるために延珠が傷つく必要なんてないんじゃないかと思うけれど、それが蓮太郎や延珠にとっては自分たちが『人間』であることを貫くために大切なことなんでしょうね。
危険地帯で交錯する互いに同等の性能を備えた超人同士のタッグバトルは手に汗握る激闘でした。
蓮太郎と延珠の活躍で非常事態を脱し、何事も無かったかのように日常に戻る都市だけれど、その平和のために一人の少女が犠牲となったことを誰も知らない世界の実情を見るとなんとも苦々しい。
蓮太郎と延珠にも幸福な未来が待っているとは限らなく、秘密や悲しみを隠して微笑み合う彼らの姿が切ない。ガストレア発生の謎や天童家の事情については今後への伏線ですかね。続編に期待。