![]() | 物理の先生にあやまれっ! 弐号機 (物理の先生にあやまれっ! シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫 あ 15-2) 朝倉 サクヤ pun2 集英社 2011-06-24 by G-Tools |
晴れて、AAEのパイロット候補として天才科学者ソフィー率いる『星立真宮研究所附属AAE高校』に入学したキューは、いきなり初代星徒会長に就任。相変わらずのモテっぷりを発揮するのだが!? 星徒会長もツライよ!! 副会長は誰になる?
この世界は、俺たちが、守る!
未知の巨大ロボットを託され世界の命運をゆだねられた高校生たちの熱血スーパーロボットコメディ。
打ち切りだなんて! こんなの絶対おかしいよ! そこらのヘタなラブコメより全然面白いのに!
初代星徒会長に就任して早々、その会長としての責務に追われるあまり、綾瀬川とナディアを傷つけてしまい無力感に陥ったキューが、それでも己の為すべきことのために立ち上がる姿に燃えた。
登場人物が熱血であるというだけでなく、胸の奥底から沸き上がってくる熱い心を感じました。
一体で世界を征服できるだけの軍事力を持つAAEだけど、それを動かすパイロット候補生たちは、自分の存在理由に悩んだり、恋に苦しんだりする普通の年頃の女の子たちなんですよねぇ。
社会が決めた価値観にとらわれ悲鳴をあげるキューや綾瀬川、ナディアの心の叫びが切ない。
でも、こんな自分にもまだできることがあるんじゃないか、そう気づいたとき開けていく世界が眩しい。
この作品に限っては、『面白い』というよりは『青臭い』という表現が相応しいかな。
それは大人の都合に振り回される怒りであったり、いつになっても平和にならない争いに満ちた世界へのやるせなさだったり、誰もが心に秘めている理不尽・不条理への反抗心。清く正しくありたいと願う気持ち。そんな思いを無性にかき立てられて、同じ思いを持つ登場人物たちへの共感を呼び込む。
強大な力を持っていてもその力を争いに使わない。キューたちだからこそできる『戦わない戦い』によって、いままでの世界の常識を真っ向から否定してみせた彼らのなんと痛快なことか。
巨大ロボット以上に信念と勇気が彼らにとっての力だった。困難や難局はこれからも続くんだろうけど、全人類が彼らのような信頼で結ばれれば、本当の平和が訪れることを信じさせてくれました。
それにしても作者のやさぐれっぷりが酷い。序盤は楽しく書いてるのに、終盤明らかに投げやり!?
ああ、クライマックス書いてるあたりで打ち切りを告知されて『この巻で伏線回収とかしてね』とか無茶振りされてマッハで萎えたんだろうなぁ。メタ発言の嵐はちょっとはっちゃけすぎじゃね?
売り上げが芳しくなかったのは、主にタイトルのせいでしょうね。本文読み終わってもあまりピンとこないもの。ただこの作品を売れなかったのは編集側の怠慢な気もするけどな。
とても悔しいので、プッシュしておきます。気になった人は読んでみて『青臭せぇええええええええ!!』って叫べばいいと思うよ!
ラブコメだけじゃなくて熱さもあって、それがただがむしゃらに熱いだけじゃないっていうか、世界が「そういうもの」だっていうのは分かっていて、でもそれを受容出来るかどうかは別物で・・・って感じがまさに「青臭ぇぇ!」ってヤツで。
自分も1巻読んで惚れて2巻のラストの打ち切り発言に吹きましたが、同時に憤りましたよ。
ロボットをちゃんと挿絵に描いて、タイトルをもっとちゃんとするだけでも売れた作品だったであろうに・・・・。そうすればSD文庫の(個人的)看板作品をカンピオーネと張れたであろうに・・・。
「何かしなくちゃ」という熱い焦燥感に突き動かされる登場人物の情動がまさに青春ですよね。
打ち切りは本当に残念。最近では珍しいくらい熱い作風なのだからすぐに結果は出せずとも、キープしておけばそのうち火がついただろうと思います。
挿絵じゃなくてタイトルが問題ですね。