![]() | ライアー・ライセンス (電撃文庫) 市原 秋太 モフ アスキーメディアワークス 2011-06-10 by G-Tools |
現代の義賊「怪盗」の素質である“機能”を持つ者だけが入学可能な「森ノ宮学院」。その学院へ入り込んだ少年・杉崎渉。彼は代々、大怪盗を輩出する杉崎家の双子の弟として生まれながら怪盗の能力が発現されず、分家から蔑まれてきた。渉は能力者たちを見返すため怪盗になることを決意するが…。
嘘つきは怪盗のはじまり
怪盗を目指す少年少女が嘘と真実で交錯する学園ファントミックアクション。
いままでありそうでなかった学園異能の王道中の王道といった感じですね。
怪盗を育成する特殊な学園で、能力が発現できない落ちこぼれの主人公・渉がライバルである級友たちと衝突し合い、ときにはお互い切磋琢磨し、次第に仲間としての絆を築いていく姿にぐっときました。
いくつもの多種多様な能力が飛び交う異能バトルと二転三転するストーリーが飽きさせなかった。
一匹狼でヒネクレた性格の主人公・渉と一本気で真面目な性格のヒロイン・スバルの、例えるなら水と油のように相性の悪い二人が、ぶつかり合っていくうちにお互いを認め合っていく関係がよかった。
主人公以上にカリスマ性のあるライバルや人徳のある先輩、ユニークな教師陣と、そして異能を秘めた数々の宝具……。世界観が読者の興味を惹きつける要素に満ちていました。
しかし、『無能力者が嘘と機転で能力者を見返してやる』というテーマの話だったのに、いきなり渉本人がチート能力を手に入れちゃうのはどうなんだろう……まあ、ラノベではよくあるパターンだけど。
怪盗だけど戦ってばかりで、あまり怪盗らしくはない。怪盗でなければいけない必然性をあまり感じない。作品の設定が設定倒れになってしまっているような……。ライアーライセンスって、結局なんぞ……
やや説明不足な設定やわかりにくい描写の表現なんかが気になりますけど、まあ新人ならかろうじて許せるレベル。それはそれとして誤植誤字が多すぎると巷で話題沸騰中ですがこれは編集が悪いな。
良くも悪くも学園異能のテンプレの域を出ていないので、今後、新しい学園異能の可能性を見つけるか、それともこのままただの学園異能で終わるのかは様子見かな。続きがちゃんと出ればの話だが。
日本語の表現も下手だと思いました。
締め切りギリギリだったんですかね。
作家の初稿や2稿は、みんなこんなもんですよ……。