![]() | 可愛くなんかないからねっ! (電撃文庫) 瀬那 和章 シコルスキー アスキーメディアワークス 2011-06-10 by G-Tools |
知らぬ間に学年のトップ3美少女に数えられているほどの美貌(?)の持ち主、文野ハルは、ある朝、校舎でウサギの人形を拾う。それはハルが幼い頃に出会った『月ウサギの君』との思い出の品。この学校に想い人がいるかもしれないと知ったハルだが、そんな中、クラスメイトの砂原さんに弱みを握られ・・・
桜よりもかわいく うさぎよりも愛らしく
美少女にしか見えない少年が街を騒がす怪異と戦う現代怪奇譚ラブコメディ。
表紙の美少女がかわいいなぁ。だが男だ。顔も髪型もポージングも女にしか見えないが、だが男だ。
美少女と見紛う外見と少女趣味を持つ主人公・ハルが、初恋の女の子との再会を夢見て男らしくなるため、人に仇なす怪異から街を守るために立ち上がる姿が健気でいじらしかった。だが男だ。
本人は男の娘の自覚はないのだけれど、男と知ってて美少女扱いする級友たちの反応が愉快w
見た目はサラサラの髪にツヤツヤのお肌のどうみても美少女で、趣味は編み物とお菓子作りって、それで「男らしくなりたい」と言い出したハルへの『お前は何を言ってるんだ』的な周囲の反応は同感。
他のヒロインよりもよっぽど普通に女の子らしくて、ハルと長年親しくしてきたはずの幼馴染の男友達とか実の妹までがハァハァ言ってるのはさすがにヤバいが、ハルの可愛さが一番ヤバい。だが男だ。
クラスメイトの美少女・砂原さんが、密かに街に蔓延る怪異と戦っていた事実を知り、ハル自身も怪異に対抗できる特殊体質を見抜かれ、弱みを握られて砂原さんにこき使われるハルですが、心の奥底では次第に惹かれ合っていく二人の姿が初々しかった。怪異の恐ろしさに一時は怖気づいてしまったハルだけど、たった一人で戦う女の子を見捨てずに戻ってきたのは確かに男らしかったと思います。
童謡をテーマにした『隠れ謡』には言葉遊びがあって少し捻られていたけど、妖怪退治モノとしては、今更でありきたりな感がぬぐえない。純粋にTS系ラブコメとしてジャンルを絞った方が良かったような。
伝奇パートではコミカルなキャラクターの存在が浮いてしまい、ラブコメパートでは怪異の存在が陰を落としてしまいイマイチ噛み合ってなかったのが惜しいなぁ。まあ男とは思えないハルの可愛さがすべて。
もういっそ、男だからイイ!! あすたぁあああああああああああああああああああ!!