![]() | 風、天を駈けよ―ソードギャラクシー 荻野目 悠樹 富士見書房 2006-06 by G-Tools |
【戦国と呼ばれた時代から三千年後。冷凍保存されていた侍スケザが目覚めたのは、地球連合と帝国との間で繰り返される激しい戦い。宇宙で侍が大暴れ!剣豪スペース・オペラ開幕】
「天を戦場にできるとは、武士冥利に尽きる」
戦場にしてるの誰よ
「野望円舞曲」で人気の荻野目悠樹の新作SFは、
スペオペの時代に蘇ったバカ侍の痛快爽快剣豪大活劇。
戦国の世からやってきたスケザが、いまだ封建制度の色濃い〈帝国〉の渦中で、混乱と騒動を巻き起こし。
自ら争いの火種となって悪党退治の大暴れを繰り広げる。
まあ痛快かどうかは正直かなり微妙。
スペオペのくせに脳筋アクションしかやってないし。
単分子刀一本で宇宙戦艦に挑んで大破させたり、
手のひらサイズの愛玩ロボが超万能ツールだったり、
力まかせな設定のノリについてこれるかが問題。
ヒネリもないし
あまりにスケザが超人すぎてシラけるってば。
かと言って、もう一人の主人公クリスは軟弱すぎてウザ!
一方は脇役との力の差が歴然としたヒーローに持ち上げる。
片や別のキャラを目立たせるためLvをやたら下げる。
その2パターンのまさに対極的なダブル主人公。
いくらなんでもキャラの立て方が短絡的でしょうよ。
アクが強く、苦いだけで旨味がない。
主人公って物語における読者の投影ですから、
何かしら対等な価値観や共感できうる要素を備えていないと話に入りにくいですよ。
しかも、すべてがキャラパワー頼みのストーリー。
これだと結局、後になってワンパターンな展開を、なし崩しに踏襲しなくちゃいけなくなって困るのは作者なんですけどね。
無論、そんなもの読まされる読者も嫌ですが。
読み切りならまだしも、2巻も3巻も読んでらんにゃい。
![]() | 野望円舞曲〈1〉 田中 芳樹 荻野目 悠樹 by G-Tools |