![]() | こうして彼は屋上を燃やすことにした (ガガガ文庫) カミツキレイニー 文倉 十 小学館 2011-05-18 by G-Tools |
彼氏にフラれた私・三浦加奈は、死のうと決意して屋上へ向かう。けれどそこで「カカシ」と名乗る不思議な少女、毒舌の「ブリキ」、ニコニコ顔の「ライオン」と出会う。ライオンは言う。「どうせ死ぬなら、復讐してからにしませんか?」そうして私は「ドロシー」になった。
つらいときにはソラを見上げて
屋上に集まった自殺志願の男女4人組が織り成す心に残る青春ジュブナイル。
こんなことで・・・と思うようなことで思い詰めて悩める純粋さ。それが若さで、青春なのだよなぁ。
自殺をしようと学校の屋上に登った主人公・加奈が、そこで同じく死のうとしている三人と出会い、一風変わった彼らの悩みと向き合っていくうちに、加奈自身も立ち直っていく姿に心が洗われた
ストーリー自体はシリアスで重いんだけど、若者たちの苦悩や葛藤が盛大に炸裂していた。
自分達を苦しめた相手に復讐を果たすまでの屋上の仲間となった加奈、ライオン、カカシ、ブリキの三人ですが、それぞれが別の事情を抱え、心に傷を負っているのが痛々しくて読むのが辛かった。
彼らと付き合っていくうちにそれぞれの苦しみを知って、救いの手を差しのべる加奈はとても立派。
自分も苦しいのに、他人にこんなにも親身になってあげれる子は今時そうそういませんよ。
勇気のないライオンに自信を与え、知恵のないカカシの支えとなり、残すところあとブリキ一人というところで、それまでのライオンとカカシの話が最後に繋がってくる構成は上手かった。
ブリキは1年前に助けられなかったソラへの罪悪感で心が埋め尽くされてしまっていたんだろうなぁ。
嫌いな自分を消すことではなくて、好きになれる自分へ変わることを選んだ彼らの今後を応援したい。
しかし、加奈をフッた元カレもどういう神経してるのかね。他に好きな子ができたからって、ああもあっさり乗り換えるなんて薄情すぎないか。別れた相手といってもなんであんな無関心なの、自分が原因なのに加奈に顔向けできると思ってるの? 私がもし女なら、あんな誠意の感じられない野郎は御免だわー。
他人から見れば歪んでいるのかもしれないけれど、当人たちはまっすぐに生きている。そんな青春の苦味に満ちた作品でした。次回作はどんなものがでてくるのかな。


