ダフロン

2011年05月17日

雨の日のアイリス/松山剛

404870530X雨の日のアイリス (電撃文庫)
松山 剛 ヒラサト
アスキーメディアワークス 2011-05-10

by G-Tools

ここにロボットの残骸がある。『彼女』の名は、アイリス。正式登録名称:アイリス・レイン・アンヴレラ。ロボット研究者・アンヴレラ博士のもとにいた家政婦ロボットであった。主人から家族同然に愛され、不自由なく暮らしていたはずの彼女が、何故このような姿になってしまったのか。

 機巧少女は傷ついても立ち上がる

 仕えていた主人を亡くし、スクラップ置き場に送られたとあるロボットの少女の物語。

 これはいい話だった。ロボットなのに人間の哀愁を感じさせる登場人物たちが素敵でした。
 愛する主人を事故で亡くしたロボットの少女アイリスが、処分先のスクラップ置き場で新しい友人と出会い、共に苦難を乗り越えて自分たちの居場所を見つけにいく姿に感動しました。
 ただ生きるだけじゃなくて、生きるのが喜びになる生きがいを見つけよう、そんなことを思いました。

 ちょっと変人だけど心優しいアンヴレラ博士に養われて、大好きな主人の世話をして過ごしていたアイリスの幸福な日々の唐突な幕切れに呆然とし、その後に彼女を襲う悲劇に胸が締め付けられました。
 スクラップ同然の姿で目覚め、悲嘆に暮れるアイリスでしたが、陽気なリリスと朴訥なボルコフと出会い、ほんのひととき現実を忘れ空想に浸る夜の読書会の情景が、とても切なく美しかった。

 しかし、この世界の人間は酷いな。勝手に望んで生まれさせておいて、必要がなくなれば一方的に捨てる残酷さ、ロボットにも傷つく心があるのに、それを理解しない無神経さに嫌気が差します。
 労働力として扱うなら工業用機械でいいじゃないか、だったら最初からロボットに感情なんて植え付けるなといいたくなるんだけど、感情があったからこそ生まれたアイリス、リリス、ボルコフの友情に涙。

 ロボットは人間の奴隷じゃない、新しい友達で家族にだってなれるんだよなぁ。人間だってロボットたちに命令する前に、彼らの主人として相応しい存在にならなければ、それは恥ずかしいよなぁ。
 ってか、これで4次選考作で落選だったのか、少なくとも大賞のシロクロなんとかよりは心動かされましたけどね。それとも、もう他のレーベルでデビューしてる人だったから流しちゃったのかな。電撃での今後に期待。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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